年間休日が少ない仕事の目安は?平均日数やホワイト企業の見分け方を解説

現在の会社の年間休日の少なさに不満を感じ、「自分の会社の休みは、もしかしたら少ないのではないか」と疑問に思っている人も多いかもしれません。

年間休日は、ワークライフバランスを考えるうえで非常に重要な指標です。

一方で「十分な休みを取れている」と感じている人は決して多くありません。

そこで、この記事では、年間休日が少ないと感じる日数の目安や、法律で定められた最低ライン、業界ごとの休日数の傾向について解説する他、今の会社で働き続けるデメリットや、休日が多い企業へ転職するための具体的な方法も紹介します。

「休日が少ない」と感じる年間休日数のボーダーライン

まずは「休日が少ない」と感じる年間休日数のボーダーラインについて見ていきましょう。

法律で定められた年間休日の最低ラインは105日

労働基準法では、休日について「毎週少なくとも1回」の法定休日を与えることが定められています。

これに加えて、労働時間の上限が「1日8時間・週40時間」と規定されているため、この上限を超えないようにするためには、法定休日だけでは足りません。

1年を約52週とすると、法定休日は52日です。

その他にも、週40時間労働を実現するには、年間労働時間を2085時間以内に収める必要があり、法定休日以外にも休日を設けなければなりません。

つまり、計算上は最低でも合計105日の年間休日が必要となるのです。

年間休日105日に到達していないところは、労働基準法に違反している可能性があるため、一度自分の労働環境を見直すことが求められます。

企業の平均年間休日数は約120日

厚生労働省の調査によると、日本企業の平均年間休日総数は120日前後で推移しています。

年間休日120日というのは、基本的に土日祝日が休みとなる、いわゆるカレンダー通りの休日に相当します。

具体的には、完全週休2日制による約104日間の休日に、祝日や夏季休暇、年末年始休暇などを加えた日数が目安です。

ゆえに、年間休日が120日以上あれば休日が多い企業、110日未満であれば平均より少ない企業と判断して問題ありません。

転職活動などで企業を選ぶ際は、120日という数値を一つの基準として考えるのがおすすめです。

業界別に見る年間休日の傾向

年間の休日数は、業界のビジネスモデルや顧客層によって異なります。

例えば、企業を相手にするBtoBビジネスが中心の業界では、取引先の営業日に合わせてカレンダー通りに休むことが多くなる一方、一般消費者を相手にするBtoCビジネスの業界では、土日祝日や大型連休が繁忙期となるため、休日が不規則になりがちです。

ここからは、休日が多い業界と少ない業界のそれぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。

年間休日が多い傾向にある業界一覧

年間休日が多い業界としては、自動車をはじめとする各種メーカーや、IT・情報通信業界、金融・保険業界などが挙げられるでしょう。

これらの業界は、企業間取引が中心で、カレンダー通りの営業が基本となる企業が多いため、土日祝日を休みに設定しやすいのが特徴です。

また、比較的大規模な会社が多く、福利厚生が充実している傾向にあります。

そのため、夏季休暇や年末年始休暇も長く確保されており、有給休暇と組み合わせて大型連休を取得しやすい環境が整っていることも少なくありません。

年間休日が少ない傾向にある業界一覧

年間休日が少ない傾向にあるのは、飲食サービス業、小売業、宿泊・レジャー業、不動産業、運輸業などの業界です。

これらの業界は、一般消費者を主な顧客としており、世間が休みである土日祝日や連休が最も忙しくなるため、シフト制勤務が主流となります。

特に、人手不足が深刻な休日の少ない会社では、一人ひとりの業務負担が重くなり、希望通りに休みが取れないケースも多いです。

一方で、サービス業の中でも法人向けのサービスを提供している企業であれば、休日が多い場合もあります。

そこは、自分の目で見極めることが必要となるのではないでしょうか。

年間休日が少ない会社で働き続ける3つのデメリット

年間休日が少ない会社で働き続ける場合、次のようなデメリットに注意が必要です。

  • 心身の疲労が回復しにくくなる
  • プライベートの時間を確保するのが難しい
  • 有給休暇を自由に取得しづらい雰囲気がある

ここでは、休日が少ない環境がもたらす代表的な3つのデメリットについて詳しく解説します。

心身の疲労が回復しにくくなる

休日が少ないと、仕事で溜まった心身の疲労を十分に回復させる時間を確保できません。

特に、週に1日しか休みがない場合、その日を家事や雑務の処理で終えてしまい、ゆっくり休めないという状況に陥りがちです。

疲労が解消されないまま次の勤務が始まると、疲れが慢性化し、集中力や仕事のパフォーマンスの低下につながります。

このような状態が長く続くと、ストレスからくる心身の不調や、過労による重大な健康問題を引き起こす可能性も否めません。

プライベートの時間を確保するのが難しい

自分の趣味に没頭したり、友人や家族と過ごしたりする時間は、人生を豊かにするために不可欠ですが、休日が少ないとプライベートの時間を確保することが難しくなります。

仕事のために「自己実現や大切な人との交流を犠牲にする生活はしたくない」と考えるのは当然のことです。

仕事以外の世界から得られるリフレッシュ効果や新たな学びの機会が失われると、結果的に仕事への意欲も削がれてしまい、生活全体の満足度が低下する悪循環に陥ります。

ゆえに、しっかりとプライベートの時間を確保することが大切です。

有給休暇を自由に取得しづらい雰囲気がある

年間休日が少ない会社は、そもそも従業員数に余裕がなく、恒常的な人手不足に陥っているケースが珍しくありません。

このような環境では、一人が休むとどうしても他のメンバーへの負担が発生するため、有給休暇の取得をためらってしまう雰囲気が生まれがちです。

周囲への罪悪感や遠慮から、制度として有給休暇が存在していても、実際には自由に申請できない状況が見られます。

その結果、体調不良や急な用事に対応できないことが多く、心身ともに追い詰められてしまうことにもなりかねません。

意外とある?年間休日が少ない仕事のメリット

年間休日が少ないことはデメリットばかりではありません。

個人の価値観やキャリアプランによっては、あえて休日が少ない仕事を選ぶことで得られるメリットも存在するのです。

ここでは、年間休日が少ない仕事のメリットについて解説します。

給与水準が高めに設定されている可能性がある

休日が少ない分、他の企業に比べて労働時間が長くなるため、対価として給与が高めに設定されている場合があります。

基本給が相場より高いケースや、休日出勤手当や残業代がしっかりと支給されることで、結果的に同年代の平均よりも多くの収入を得られる可能性があるため、若いうちに集中的に働いて資金を貯めたい、あるいは特定の目標のために短期間で稼ぎたいという人にとっては、魅力的な選択肢です。

ただし、サービス残業が常態化していないかなど、給与体系の詳細は事前に確認が必要となるでしょう。

仕事のスキルアップが早まることも

勤務日数が多いということは、より多くの実務経験を積める機会があるということです。

特に若手や未経験の分野に挑戦する人にとっては、短期間で集中的に業務に携わることで、スキルや知識の習得スピードが格段に早まる可能性があります。

自分がやりたい仕事や専門性を高めたい分野で、実践を通じていち早く成長したいと考える人にとっては、休日が少ない環境もポジティブに捉えることが可能です。

多くの経験を積むことで、キャリアの選択肢が広がることも期待できます。

今の会社が辛い……休日が少ないと感じたときの対処法

ここからは、今の会社が辛い……休日が少ないと感じたときの対処法について見ていきましょう。

繁忙期を避けて長期休暇を取得できないか相談する

会社の年間休日が少なくても、有給休暇を戦略的に活用すれば、まとまった休みを確保することは可能です。

業界や部署の業務サイクルを把握し、比較的仕事が落ち着いている閑散期を狙って、長期休暇の取得を上司に相談してみてください。

一般的な大型連休の時期を外すことで、周囲への影響を最小限に抑えられ、許可を得やすくなる場合があります。

数日間の連休でも取得できれば、心身を十分にリフレッシュさせる貴重な機会になるため、業務の引き継ぎを万全した状態で交渉してみましょう。

上司に労働環境の改善を交渉してみる

休日が少ない根本的な原因が、慢性的な人手不足や非効率な業務フローにあるのなら、具体的な改善策を添えて上司に交渉してみるのも一つの手です。

例えば、特定の業務を効率化するためのツール導入や、チーム内での業務分担の見直しなどを提案することで、労働時間の短縮につながる可能性があります。

会社側としても、従業員の定着率向上は重要な課題であるため、建設的で論理的な提案であれば、真摯に検討してくれるかもしれません。

感情的にならず、現状の課題と改善による利点を客観的に伝えることが大切。

年間休日120日以上のホワイト企業へ転職する3つのコツ

次に、年間休日120日以上のホワイト企業へ転職する3つのコツについて見ていきましょう。

求人票の「完全週休2日制」表記を確認する

求人票を見る際は、「完全週休2日制」という表記に注目することが重要です。

似た言葉に「週休2日制」がありますが、これは「1ヶ月のうち、2日の休みがある週が最低1回ある」という意味であり、毎週2日の休みが保証されているわけではありません。

一方で「完全週休2日制」は、毎週必ず2日間の休みがあることを示しています。

年間休日120日以上を確実に狙うなら、それらの表記は必須条件と言えます。

カレンダー通りの生活を送りたい人は「土日祝休み」との記載を確認すると安心です。

休日が多い業界・職種を狙って探す

やみくもに求人を探すよりも、そもそも年間休日が多い傾向にある業界や職種にターゲットを絞る方が効率的です。

前述したように、メーカー、IT・情報通信、金融・保険といった業界は、年間休日120日以上の企業を見つけやすくなっています。

また、職種としては、企業の営業カレンダー通りに稼働することが多い人事、総務、経理といった管理部門の仕事も狙い目です。

まずは、自分のスキルやキャリアプランと照らし合わせながら、休日を確保しやすいフィールドで転職先を探すことが大切といえます。

転職エージェントに相談して企業の内部情報を得る

求人票に記載されている情報だけでは、実際の有給休暇取得率や残業時間、社内の雰囲気といったリアルな労働環境を知ることは困難です。

転職エージェントは、企業の採用担当者と直接コミュニケーションを取っているため、一般には公開されていない内部情報に詳しい場合があります。

年間休日120日以上という条件はもちろん「有給が取りやすい社風」「残業が少ない」といった具体的な希望を伝えることで、自分に合った企業を紹介してもらえることも。

ミスマッチを防ぎ、効率的に転職活動を進めるためには、専門家のアドバイスをご活用ください。

会社という枠組みを超えた働き方

年間休日を自分の裁量で決めたい場合は、会社員以外の働き方がおすすめです。

最後に、会社という枠組みを超えた働き方についてまとめます。

フランチャイズに加盟する

フランチャイズとは、事業本部(フランチャイザー)が持つブランド名や商品の使用権、経営ノウハウなどを得て、加盟店(フランチャイジー)として事業を運営する仕組みです。

フランチャイズは確立されたビジネスモデルを利用できるため、未経験からでも比較的参入しやすいのが魅力。

業種としては、コンビニや飲食店、学習塾など多種多様なものがあります。

どの業態も自分がオーナーとなるため、従業員の採用やシフト管理を通じて、自分の休日をある程度コントロールすることが可能です。

ただし、本部に支払うロイヤリティが発生し、経営の自由度には一定の制約があるため、計画的な事業運営が求められます。

代理店として動く

代理店は、特定企業の商品やサービスを企業に代わって営業・販売するビジネス形態です。

保険商品や通信回線、Webサービスなどが代表例として挙げられます。

自身で商品開発を行う必要がなく、販売活動に専念できるのが特徴で、大半の場合、個人事業主として業務委託契約を結び、成果報酬型の収入を得ます。

働く時間や休日は完全に自分でスケジューリングできるため、自由度は高め。

反面、収入が不安定になりやすく、成果を出すための高い営業スキルと自己管理能力が必要です。

独立開業する

独立開業は、これまでのキャリアで培った専門的なスキルや経験を活かして、完全にオリジナルの事業を立ち上げる方法となります。

Webデザイナー、コンサルタント、エンジニアとして個人で活動するほか、飲食店や小売店を開くなど、その形は様々です。

しかし、事業計画から資金調達、実務に至るまですべてを自分の責任で行えるため、一定の自由度が担保されているといえるでしょう。

事業が安定するまでは休日返上で働く時期もあるかもしれませんが、軌道に乗れば、働く場所、時間、休日、仕事内容のすべてを自分の意思で決定できるため、自由度だけで見ると魅力的な働き方ではないでしょうか。

まとめ

年間休日が少ないと感じる一つの目安は、法律上の最低ラインである105日、そして全国平均の約120日です。

この日数を下回る環境では、心身の疲労回復が追いつかず、プライベートの時間を確保することが難しくなる傾向があります。

現在休みが少ない会社で働いている人が現状を変えるためには、まず社内で休暇取得の交渉を試み、改善が見込めない場合は転職を検討するのが有効です。

また、転職する場合は「完全週休2日制」の表記を確認し、休日が多い業界を狙うことをおすすめします。

会社の雇用形態にこだわらず、独立など自分で休日をコントロールできる働き方を視野に入れることも、理想のワークライフバランスを実現するためには必要でしょう。

まずは、自分に合った働き方とは何かを追及してみてはいかがでしょうか。

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#カケハシ 編集部

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