ボランタリーチェーンとは、独立した小売店が連携し、共同で仕入れや販促活動を行う組織形態を指します。
本記事では、ボランタリーチェーンとフランチャイズの仕組みや特徴を比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
経営の自由度や費用体系といった観点から両者の違いを理解することで、自社の事業戦略に適した選択が可能になります。
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INDEX
ボランタリーチェーン(VC)とは?独立した小売店が連携する仕組み
ボランタリーチェーンとは、独立性を維持したい小売店同士が自発的に連携し、組織を形成する事業形態です。
英語の「VoluntaryChain」の略でVCとも呼ばれます。
この仕組みの目的は、大手資本に対抗するため、仕入れや販促、情報共有などを共同で行うことで経営効率を高める点にあります。
日本ボランタリー・チェーン協会によると、様々な業種で導入されており、コンビニのヤマザキショップ(Yショップ)や飲食店、スーパーマーケットなど、多くの店がこの形態をとっています。

ボランタリーチェーンとフランチャイズの5つの違いを徹底比較
ボランタリーチェーンとフランチャイズは、複数の店舗がチェーン展開を行う点で共通していますが、その運営形態や本部の役割には明確な違いが存在します。
加盟を検討する際には、両者の特徴を正しく理解し、自社の事業方針にどちらが合致するかを見極める必要があります。
ここでは、経営の自由度、費用体系、サポート内容、加盟店同士の関係性、ブランドの統一性という5つの観点から、両者の違いを比較します。
違い1:経営における自由度の高さ
最も大きな違いは、経営における自由度の高さです。
ボランタリーチェーンでは、本部と加盟店は対等な関係にあり、加盟店は独立した事業者として扱われます。
そのため、店舗名や内外装、取扱商品、価格設定、営業時間といった経営方針の多くを、各お店が自由に決定できます。
一方、フランチャイズは本部が強力な指導権を持ち、ブランドイメージを統一するため、加盟店は本部の定めたマニュアルやルールに従う必要があります。
独自性を活かした店舗運営をしたい場合は、ボランタリーチェーンが適しています。
違い2:ロイヤリティの有無と費用体系
費用体系も両者で大きく異なります。
フランチャイズでは、加盟店は本部のブランドやノウハウを使用する対価として、売上や利益の一定割合を「ロイヤリティ」として毎月支払うのが一般的です。
これに対し、ボランタリーチェーンではロイヤリティという概念はなく、共同仕入れシステムの利用料や情報提供の対価として、定額の会費を支払うケースが多く見られます。
そのため、売上が増加しても本部への支払額は変わらず、利益を確保しやすい構造になっています。
違い3:本部から受けられるサポート内容
本部から受けられるサポート内容にも違いがあります。
フランチャイズ本部は、加盟店に対して開業前の研修、物件選定、開業後の経営指導、広告宣伝活動など、手厚く包括的なサポートパッケージを提供します。
これは、経営未経験者でも事業を始めやすい利点です。
一方、ボランタリーチェーン本部のサポートは、共同仕入れやプライベートブランド商品の開発、共同販促活動の企画などが中心です。
経営そのものへの介入は少なく、加盟店の自主性を尊重する形をとります。
違い4:加盟店同士の横のつながりの強さ
加盟店同士の関係性も異なります。
ボランタリーチェーンは、もともと独立した小売店が協力し合うために作られた協同組合的な組織です。
そのため、加盟店同士が対等な立場で情報交換をしたり、勉強会を開催したりするなど、横のつながりが非常に強いのが特徴です。
一方、フランチャイズは本部と各加盟店が個別に契約を結ぶ「縦の関係」が基本であり、加盟店同士の連携はボランタリーチェーンほど活発ではない傾向にあります。
この連携の強さがVCの大きな強みです。
違い5:提供されるブランド・看板の統一性
ブランドイメージの統一性も大きな違いです。
フランチャイズチェーンは、店舗の外観や看板、内装、取扱商品、サービス内容などを厳格に統一することで、全国どこでも同じ品質を提供するという強力なブランドイメージを構築しています。
消費者はその看板を見て安心して利用できます。
対してボランタリーチェーンは、各加盟店の独自性を尊重するため、統一の屋号を持たないことも多く、店舗ごとの個性が強いです。
チェーン全体の知名度よりも、個店の地域に根ざしたブランド力が重視されます。
ボランタリーチェーンに加盟する4つのメリット
ボランタリーチェーンへの加盟は、個人経営の自由度を保ちながら、組織ならではの利点を享受できるという大きなメリットがあります。
単独での店舗運営では実現が難しいコスト削減や情報収集が可能になり、経営の安定化と競争力強化につながります。
ここでは、加盟によって得られる具体的な4つのメリットについて詳しく解説します。
メリット1:共同仕入れによるコスト削減が実現できる
最大のメリットは、共同仕入れによるコスト削減です。
チェーンに加盟する多くの店舗がまとまって商品を仕入れることで、一店舗あたりの発注ロットが大きくなり、スケールメリットが生まれます。
これにより、メーカーや卸売業者との価格交渉力が向上し、個人経営の店舗では困難な単価での仕入れが可能になります。
仕入れコストの削減は、販売価格の引き下げによる競争力強化や、利益率の改善に直接つながるため、経営基盤を安定させる上で非常に有効です。
メリット2:経営の独立性を保ちながら事業ノウハウを共有できる
ボランタリーチェーンでは、フランチャイズのように本部から経営方針を厳しく定められることがないため、オーナーは店舗の立地や顧客層に合わせて独自の経営戦略を追求できます。
店ならではの品揃えやサービスを展開するなど、経営の独立性を維持できるのが魅力です。
その一方で、本部が開発したプライベートブランド商品を利用したり、他の加盟店の成功事例や販売ノウハウを共有してもらったりすることも可能です。
独立性と協業の利点を両立できる点は大きなメリットです。
メリット3:現場の意見が本部の運営方針に反映されやすい
本部と加盟店が対等なパートナーであるため、現場の意見が本部の運営方針に反映されやすい構造になっています。
ボランタリーチェーンは加盟店が主体となって運営される組織であり、定期的に開催されるオーナー会議などの場で、加盟店が本部の意思決定に直接関与できます。
例えば、プライベートブランド商品の開発テーマや、共同で実施する販促キャンペーンの内容などについて、現場のニーズに基づいた提案が可能です。
トップダウン型のフランチャイズとは対照的に、ボトムアップで組織運営ができる点は特徴的です。
メリット4:加盟店同士で活発な情報交換や協力体制が築ける
加盟店同士の強固な横のつながりも、大きなメリットの一つです。
同じ立場の経営者として、売れ筋商品の情報や効果的な販促手法、人材採用や育成に関する悩みなどを共有し、互いに助言し合えるネットワークが存在します。
成功事例を学ぶだけでなく、互いの店舗の状況を理解し、ときには協力し合うことも可能です。
個人経営では孤立しがちな悩みを相談できる仲間がいることは、精神的な支えになるだけでなく、事業を継続していく上で実践的な助けとなります。
知っておくべきボランタリーチェーンの3つのデメリット

ボランタリーチェーンには多くのメリットがある一方で、加盟を検討する際にはデメリットも十分に理解しておく必要があります。
経営の自由度が高いという利点は、裏を返せば本部のサポートや統制が弱いことを意味します。
加盟店の自主性に委ねられる部分が大きいため、事前にこれらの課題を把握し、自社の経営能力や方針と照らし合わせて慎重に判断することが求められます。
デメリット1:本部の統制力が弱くブランドイメージがばらつきやすい
ボランタリーチェーンは加盟店の自主性を尊重するため、本部から各店舗への指導や強制力が弱く、経営方針やサービスレベルにばらつきが生じやすいというデメリットがあります。
これにより、全店で統一されたブランドイメージを構築・維持することが難しくなります。
一部の店舗で品質の低い商品やサービスが提供された場合、それがチェーン全体の評判低下につながるリスクも抱えています。
消費者に対して、チェーンとしての均一な品質や安心感を提供しにくい側面があります。
デメリット2:フランチャイズほどの強力なブランド力は期待できない
フランチャイズチェーンの多くは、テレビCMなど大規模な広告宣伝活動によって全国的な知名度とブランド力を確立しています。
加盟店は、そのブランド力を活用して開業当初から安定した集客を見込めるのが大きな利点です。
一方、ボランタリーチェーンは統一された屋号を持たない場合も多く、チェーン全体としての知名度はフランチャイズに劣る傾向があります。
そのため、集客を本部のブランド力に頼ることは難しく、各加盟店が自らの努力で地域での認知度を高めていく必要があります。
デメリット3:加盟店の自主的な経営努力への依存度が高い
経営の自由度が高い反面、事業の成功は加盟店オーナーの経営手腕に大きく依存します。
フランチャイズのように、本部が用意した詳細な運営マニュアルや手厚い経営指導は期待できません。
仕入れ、価格設定、販売促進、人材管理など、経営に関するほとんどの判断を自ら下す必要があります。
そのため、経営者には高いレベルの自主性、知識、経験が求められます。
受け身の姿勢では成果を上げることは難しく、常に自ら学び、改善を続ける意欲がなければチェーンのメリットを十分に活かせません。。
ボランタリーチェーンの代表的な成功事例

ボランタリーチェーンは、特定の業界に限らず、様々な分野で活用され成功を収めています。
ここでは、具体的な企業の例を挙げて、その仕組みがどのように機能しているかを紹介します。
特に競争の激しいスーパーマーケットやドラッグストア業界では、中小事業者が大手に対抗するための有効な戦略として定着しています。
これらの成功事例を見ることで、ボランタリーチェーンの事業モデルへの理解が深まります。
スーパーマーケット業界における成功事例
スーパーマーケット業界では、CGCジャパンや全日本食品(AJS)がボランタリーチェーンの代表的な成功例として知られています。
これらは、全国各地の中小スーパーマーケットが加盟する日本最大級の共同仕入れ機構です。
加盟するスーパーは、共同でプライベートブランド(PB)商品を開発・販売したり、一括仕入れによってナショナルブランド商品を安価に調達したりできます。
これにより、各店舗は地域密着型の個性を維持しながら、大手チェーンに引けを取らない商品力と価格競争力を確保しています。
ドラッグストア業界における成功事例
ドラッグストア業界でも、ボランタリーチェーンは重要な役割を果たしています。
代表的な組織として、オールジャパンドラッグ(AJD)や日本ドラッグチェーン会(NID)が挙げられます。
これらのチェーンに加盟するドラッグストアは、医薬品や化粧品、日用品などの共同仕入れを通じてコスト競争力を高めています。
また、PB商品の共同開発や、合同での販促キャンペーン、情報システムの共有なども行い、経営の効率化を図っています。
これにより、加盟店は大手チェーンに対抗しつつ、地域に根差した専門性の高いサービスを提供しています。
ボランタリーチェーンに加盟するまでの基本的な3ステップ
ボランタリーチェーンへの加盟を具体的に検討する場合、一般的な手続きの流れを事前に把握しておくことが重要です。
通常、情報収集の段階から始まり、本部による審査を経て、最終的に契約を締結するというステップを踏みます。
このプロセスは、チェーンの方針と自社の経営ビジョンが合致するかどうかを、双方が見極めるための大切な期間です。
以下に、加盟までの基本的な3つのステップを解説します。
ステップ1:説明会への参加と情報収集
最初のステップは、興味のあるボランタリーチェーンが開催する事業説明会に参加することから始まります。
説明会では、チェーンの理念、事業内容、加盟条件、費用、提供されるサポート体制などについて詳細な説明を受けられます。
ウェブサイトや資料だけでは得られない具体的な情報を直接担当者から聞くことで、理解を深めることが可能です。
この段階で、チェーンの方針が自身の目指す経営の方向性と一致するかを慎重に見極め、複数のチェーンを比較検討することが重要になります。
ステップ2:本部による審査と面談
加盟の意思が固まったら、指定された申込書や事業計画書、財務諸表などの必要書類を本部に提出し、加盟を申し込みます。
本部側は提出された書類に基づき、加盟希望者の経営者としての資質や経験、財務状況、店舗の立地条件などを総合的に評価する審査を実施します。
通常、書類審査と並行して本部担当者との面談が行われます。
面談は、加盟希望者の事業への熱意やビジョンを伝えるとともに、本部との相互理解を深め、信頼関係を築くための重要な機会となります。
ステップ3:契約締結と加盟
本部による審査を通過し、双方の合意に至れば、最終段階として加盟契約を締結します。
契約書には、加盟金や会費の金額、支払い方法、本部と加盟店の権利・義務、契約期間、守秘義務といった重要な条項が明記されています。
契約内容を隅々まで確認し、少しでも疑問点があれば必ず解消してから署名・捺印することが不可欠です。
契約が正式に締結されると、晴れてチェーンの一員となり、共同仕入れや各種サポートシステムの利用が開始されます。
ボランタリーチェーンに関するよくある質問

ボランタリーチェーンへの加盟を検討する際には、収益性や加盟条件、費用など、実務的で具体的な疑問が生じるものです。
ここでは、特に多くの方が抱くであろう質問とその回答をまとめました。
これらの情報を参考にすることで、ボランタリーチェーンという選択肢が自身の事業にとって本当に適切かどうかを、より深く判断する材料になります。
Q. ボランタリーチェーンとフランチャイズはどちらが儲かりますか?
一概にどちらが儲かるとは断定できません。
売上からロイヤリティが引かれない分、事業が軌道に乗ればボランタリーチェーンの方が利益率は高くなる傾向があります。
しかし、フランチャイズの強力なブランド力による集客効果も収益に大きく影響するため、経営者の経験や立地条件によって結果は異なります。
Q. 未経験でもボランタリーチェーンに加盟できますか?
加盟自体は可能な場合もありますが、あまり推奨されません。
ボランタリーチェーンは加盟店の自主的な経営努力に依存する側面が強く、ある程度の事業経験や経営ノウハウが求められることが一般的です。
経営未経験者の場合は、手厚い研修や運営マニュアルが整っているフランチャイズの方が適していることが多いです。
Q. 加盟金やロイヤリティの費用相場はどのくらいですか?
ボランタリーチェーンには基本的にロイヤリティはなく、月額数万円程度の会費制が主流です。
加盟金は数十万円から数百万円と、チェーンの規模や業種によって幅があります。
一方、フランチャイズは加盟金に加え、売上の数%をロイヤリティとして支払うのが一般的です。
契約前に詳細な費用体系を確認する必要があります。
まとめ
ボランタリーチェーンは、各小売店が経営の独立性を保ちながら、共同仕入れによるコスト削減やノウハウ共有といった組織のメリットを享受できる事業形態です。
一方、フランチャイズは、本部の強力なブランド力と手厚いサポート体制のもとで、安定した経営を目指せる点が特徴です。
両者の最も大きな違いは、経営の自由度、ロイヤリティの有無を含む費用体系、反映してそしてサポート内容にあります。
どちらの形態が優れているというわけではなく、自社の経験値、目指す店舗の姿、そしてどの程度の独立性を望むかによって最適な選択は異なります。
