学生が起業するには?アイデアの出し方や資金の集め方について解説!

学生が起業するには、思い付きではなく確かな準備が必要です。

筆者は社会人経験を経てからフリーランスとして開業しましたが、現在では在学中に起業する人も決して珍しくありません。

ただ、用意が不十分なまま起業すると、思わぬ落とし穴にハマってしまうことも……。

そこで、この記事では学生が起業するにはどうすれば良いのか、アイデアの出し方や資金の集め方について詳しく解説します。

学生起業とは?

高校や大学などに在籍しながら自ら事業を立ち上げることを指します。

近年、若い世代で起業家として活躍する人が増えており、学生のうちにビジネスの世界に飛び込むことへの関心が高まっています。

学生の起業家とは、まさに学生としての在学期間中に自身のアイデアを形にし、事業として成立させることを目指す人々です。

学業と並行して事業を運営するという独自のスタイルだけに楽ではありませんが、何度転んでも立ち直れる学生の間に起業するのは、何かとチャンスが豊富です。

学生が起業する際のやり方

では、学生が起業する際のやり方について見ていきましょう。

起業の目的と事業内容の決定

起業家として第一歩を踏み出す前に、なぜ起業したいのか、どのような事業で社会に貢献したいのかという目的を明確にすることが重要です。

こうした目的設定が、事業内容や方向性を決定する上での指針となります。

学生のうちに起業を志す場合、自身の興味や問題意識、将来のキャリアプランと結びついた目的を持つことがモチベーションを維持し、困難を乗り越える力となるでしょう。

事業内容を決定する際には、どのような商品やサービスを提供し、どのような顧客層をターゲットにするのかを具体的に考えなければいけません。

また、自身のスキルや知識、学生という立場を活かせる分野を選ぶことも成功の可能性を高めるのではないでしょうか。

例えば、自身の専攻分野やサークル活動で培った経験、あるいは学生生活の中で感じた課題やニーズからアイデアを得ることも可能です。

市場調査や競合分析を行い、事業が社会に求められているのか、収益を上げられる可能性があるのかを慎重に検討する必要があります。

起業アイデアの考え方

学生が起業アイデアを考える際には、まず身近な課題や自身の興味・関心からヒントを得ることが有効です。

例えば、学生生活の中で不便だと感じること、もっとこうだったら良いのにと思うことなどが、ビジネスの種になることがあります。

友人や家族との会話、ニュースやSNSで話題になっていること、あるいはアルバイトやインターンシップでの経験もアイデアの源泉となります。

また、既存の商品やサービスを組み合わせたり、新たな視点を加えたりすることで、独自の価値を生み出すことも可能です。

  • 特定のスキルや知識を活かした塾やスクール事業
  • オンラインを活用したアパレル販売やIT関連サービス
  • 学生向けのコミュニティ運営やイベント企画

IT分野であればアプリ開発やWeb制作、デザインなどが挙げられます。

場合によっては、カフェや特定のテーマに特化したサークル活動の収益化も可能です。

大切なのは、そのアイデアがどのような顧客のニーズを満たすのか、どのように収益を上げるのかを具体的に考えることにあるといえるでしょう。

市場調査や競合分析を行い、アイデアの実現可能性や収益性を検証していく過程も欠かせないのではないでしょうか。

事業計画書の作成方法

事業計画書は、起業アイデアを具体的なビジネスとして形にするための設計図です。

この計画書を作成することで、事業の目的、内容、ターゲット顧客、市場分析、競合との差別化、販売戦略、資金計画、収益見込みなどを明確にできます。

作成の流れには、以下を参考にしてみてください。

  1. 事業の概要やビジョンを簡潔にまとめる
  2. 具体的なサービスや商品の内容、ターゲット市場規模を記述する
  3. 市場調査や競合分析の結果を盛り込み、自社の強みや競争優位性を明確にする
  4. 販売戦略やマーケティング方法についても具体的に記述し、どのように顧客を獲得し、収益を上げていくのかを示す
  5. 資金計画では、開業資金や運転資金がどのくらい必要なのか、どのように資金を調達するのか、将来的な資金繰りの見通しを立てる
  6. 収益計画では、売上高や費用、利益の予測を立て、事業の採算性を示す
  7. 事業計画書の作成にあたっては、インターネット上のテンプレートや書籍を参考にしたり、大学のキャリアセンターや起業支援機関、あるいはコンサルタントなどの専門家に相談したりする

以上のように1つずつ明確に決めていくのが、事業計画書の鍵。

中でも、資金調達を検討している場合は、金融機関や投資家に対して事業の将来性や実現可能性を説明するために、説得力のある事業計画書を作成する必要があります。

中途半端な事業計画では融資を却下されることもあるので、丁寧な作成が必要です。

時には体験談なども参考にしながら、より実践的な計画書を目指しましょう。

必要な資金調達の方法

学生が起業するために必要な資金は、事業内容によって大きく異なります。

IT関連の事業など、オンラインで完結する場合は比較的低コストで始めることが可能ですが、実店舗を構える場合や在庫を抱える必要がある場合はまとまった資金が必要です。

資金の準備方法としては、以下を参考にしてみてください。

  • アルバイトや貯蓄で貯めたお金を充てる
  • 親や親戚からのサポートや支援を得る
  • 学生向けの融資制度(助成金・補助金)を活用する
    ⇒日本政策金融公庫の「教育ローン」や各自治体が実施している創業支援融資など、学生でも利用できる制度がある
  • ビジネスコンテストで入賞し、賞金や事業資金を獲得する
  • クラウドファンディングを利用する
    ⇒事業アイデアに共感した人々から資金を募れる

以上のように、資金調達の方法は複数存在します。

まずは必要な資本金の額を算出し、それぞれの資金調達方法のメリット・デメリット、返済の必要性などを考慮して、自身の事業に合った方法を選択するのがおすすめです。

いきなり高額の資金で始めるのはリスキーなので、少額の0円から始められるビジネスモデルを検討するなど、リスクヘッジについても考えておきましょう。

個人事業主・法人の手続きの流れ

学生が起業する際の手続きは、個人事業主として開業するか、法人として会社を設立するかによって内容が異なります。

  • 個人事業主として開業する場合
    税務署に開業届を提出するだけで手続きは比較的簡単です。
    開業届には、事業の概要や氏名、住所などを記載します。
    また、税制上のメリットを受けるために確定申告で青色申告を選択する場合は、開業届と同時に青色申告承認申請書も提出する必要があるでしょう。
  • 法人として会社を設立する場合
    法人はやや複雑な手続きが必要となります。
    会社の基本事項(商号、事業目的、本店所在地、資本金など)を決定し、定款を作成して公証役場で認証を受け、資本金を払い込みます。
    法務局で設立登記の申請を行い、登記が完了すれば無事会社設立です。
    ただ、他にも税務署や都道府県税事務所、市町村役場に法人設立届出書などを提出する必要がある他、社会保険関連の手続きも必要です。
    会社として認められるためには相応の手間がかかるのではないでしょうか。

個人事業主として開業する場合も法人として会社を設立する場合も、手続きは専門的な知識が必要となる場合があるので、司法書士や税理士などの専門家に相談したり、会社設立を支援するサービスを利用したりすることも検討すべきです。

学生起業のメリット

ここからは、学生起業のメリットについて見ていきましょう。

学生向けのの支援が受けられる

学生が起業するメリットの一つは、学生向けの様々な支援を受けやすいという点です。

大学には、起業を支援するための専門部署や施設が設置されており、ビジネスプランの相談に乗ってもらえたり、起業に関するセミナーやワークショップに参加できたりします。

学内でのビジネスコンテストも開催されており、優秀なアイデアには資金提供やメンタリングなどの支援が行われることも珍しくありません。

また、大学の研究室で生まれた技術シーズを基に起業する場合、大学からの技術支援やネットワークの活用が期待できるでしょう。

学外にも、学生を対象とした起業支援プログラムやコミュニティが存在し、専門家によるアドバイスや他の学生起業家との交流を通じて、ビジネスに関する知見や人脈を広げることも可能です。

単に支援と言っても、資金調達、法務、税務、マーケティングなど、起業に必要な幅広い分野にわたります。

なお、メディアも学生起業家に注目することがあり、メディア露出によって事業の認知度を高められる可能性もあるかもしれません。

学生向けの支援制度やコミュニティを積極的に活用すればするほど、起業のハードルを軌道に乗せやすくなります。

もちろん、応援してくれる人々との繋がりも精神的な支えになるはずです。

リスクが少ない

学生が起業するメリットとして、社会人に比べてリスクが少ないことも挙げられます。

多くの学生は扶養家族がいない場合も少なくありませんし、生活費についても実家からの支援やアルバイトなどで賄うことが可能です。

そのため、仮に事業がうまくいかなかったとしても、家族を養う責任や住宅ローンの返済などに追われる心配が比較的ないでしょう。

また、学生のうちに失敗しても、新卒として就職するという選択肢が残されています。

起業経験は、仮に成功しなくてもビジネスに関する貴重な学びや経験となり、その後の就職活動やキャリア形成において有利に働くのは明白です。

他にも、学生向けの起業支援制度や資金調達方法も存在するので、自己資金が限られている場合でも、比較的限られた元手や0円からビジネスを始められる可能性があります。

時間を比較的自由に使いやすいという点も、リスクを軽減する要因の1つです。

学生であれば、授業の合間や長期休暇などを活用して事業に時間を充てることが可能であり、うまくいかなくても学業に戻るというセーフティーネットがあります。

結果的に、リスクを恐れずに挑戦しやすい環境にあると言えるでしょう。

上記の理由から、学生のうちに起業することは社会人になってから起業するよりもリスクを抑えて挑戦できるわけです。

将来の選択肢が広がる

学生時代に起業を経験することは、将来の選択肢を広げるというメリットもあります。

例え事業が失敗に終わっても、起業の過程で得られる経験やスキルは非常に価値のあるものです。

ビジネスを立ち上げ、運営する中で、企画力、実行力、問題解決能力、コミュニケーション能力、リーダーシップなど、社会で求められる様々な能力が磨かれます。

こうした経験は、卒業後の進路を考える上でアドバンテージとなるのではないでしょうか。

具体的には、起業経験を活かして、自身の事業を継続・発展させていく道を選ぶことも可能です。

もし事業で成功するのが難しい場合でも、その経験を評価してくれる企業への就職を目指すことも不可能ではありません。

近年では、起業経験のある人材を積極的に採用する企業もあります。

また、一度起業を経験することで、自身の興味や適性を深く理解することができ、より自分に合ったキャリアを選択するための明確な指針を得られるはずです。

学生時代に上手に経営できなくても、将来的に再度起業に挑戦するのもありです。

起業家の中には、学生時代の起業経験が後の飛躍に繋がったというケースも珍しくありません。

就職活動においても、起業経験は他の学生との差別化要因となり、面接などで具体的なエピソードを語ることで自身の主体性や行動力を効果的にアピールできます。

学生起業のデメリット

ここでは、学生起業のデメリットについて見ていきましょう。

資金調達が難しい

学生が起業する際のデメリットの一つに、資金調達の難しさが挙げられます。

社会的な信用や実績がほとんどないため、金融機関からの融資を受けることが難しいです。

多額の資金が必要となる事業の場合、自己資金だけでは限界があり、資金繰りに苦慮する可能性もあるでしょう。

金融機関は融資の審査において、事業計画の実現可能性だけでなく、申請者の返済能力や信用力を重視します。

学生の場合、安定した収入や返済実績がないので、審査のハードルは決して甘くないです。

また、親や親戚からの借入も一つの方法ですが、これも限度があるでしょう。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資も資金調達の手段ですが、学生の段階で投資家の興味を引き、資金を引き出すことは容易ではありません。

事業の将来性や成長性をいかに魅力的にプレゼンテーションできるかが重要となります。

助成金や補助金も資金調達の選択肢ですが、それらは応募期間や要件が限られており、必ず受給できるとは限りません。

受給が決定しても実際に資金が交付されるまでに時間がかかる場合もあるなど、学生が起業に必要な資金を十分に確保するのは大変です。

ゆえに、初期費用があまり必要ないビジネスモデルを選択したり、クラウドファンディングを活用したりするなど、資金調達方法を工夫する必要があるのではないでしょうか。

経験や知識不足のリスク

学生が起業する際のデメリットとして、経験や知識不足によるリスクも挙げられます。

社会経験がないため、ビジネスの現場での実践的な知識や、経営に関する専門的な知識が不足している場合も珍しくないです。

例えば、マーケティング、財務、法務、労務管理など、事業を運営していく上で必要となる知識は多岐にわたります。

これらの知識が不足していると、事業計画の策定が甘くなったり、予期せぬ問題発生への対応が遅れたりする可能性がある他、社会人としての経験がないので、取引先との交渉や契約、人材採用やマネジメントなどにおいて、困難に直面することもあるわけです。

ビジネスの世界での人脈も限られており、困った時に相談できる相手や協力者を見つけにくいという課題もあるでしょう。

そうした経験や知識不足は、事業運営における判断ミスや非効率な業務に繋がり、事業の失敗リスクを高める要因となるかもしれません。

そのため、積極的に情報収集を行ったり、ビジネス関連の書籍やセミナーで学んだりすることが重要ではないでしょうか。

経験豊富なメンターやアドバイザーを見つけ、定期的に相談できる環境を作ることも大切。

大学のキャリアセンターや起業支援機関の専門家を活用したり、インターンシップなどを通じて実践的な経験を積んだりすることも、知識や経験を補うことに繋がります。

自身の専門分野を活かせる事業を選び、経験不足を補うのが一つの方法です。

学業との両立が難しい

学生が起業する上で避けて通れないデメリットの一つが、学業との両立の難しさです。

起業には多くの時間とエネルギーを要するため、学業に充てられる時間が少なくなってしまう可能性があります。

授業への出席、課題の提出、試験勉強などに加えて、事業の企画、準備、運営、営業活動、事務処理など、やるべきことは山積みです。

上記のタスクを効率的にこなすためには、高度な時間管理能力が求められます。

事業が軌道に乗るまでは予期せぬ問題が発生することもあり、その対応に追われることで、学業がおろそかになってしまうリスクもあるでしょう。

単位の取得に影響が出て、卒業が遅れてしまうという事態も起こりえます。

また、起業活動に集中しすぎると、大学の友人との交流やサークル活動に参加する時間が減り、学生生活ならではの経験や人脈を十分に築けない可能性もあるわけです。

結果的に心身ともに負担がかかり、体調を崩してしまうリスクもゼロではありません。

だからこそ、綿密なスケジュール管理と優先順位付けが不可欠です。

学業のスケジュールを考慮しながら、事業に充てられる時間を確保し、計画的に作業を進める必要がある他、一人ですべてを抱え込まず信頼できるビジネスパートナーを見つけたり、外部の専門家やサービスを活用したりして、業務の一部を委託することも検討すると良いでしょう。

大学の先生や職員に事情を説明し、理解と協力を得ることも必須となります。

学生起業での立ち回り方

次に、学生起業での立ち回り方について見ていきましょう。

スモールビジネスから始める方法

学生が起業する際は、スモールビジネスから始めることです。

最初から大きな事業を目指すのではなく、まずは小さな事業で経験を積み、徐々に拡大していくというアプローチがおすすめと言えます。

この方法の最大のメリットは、初期投資や投資を抑えられるため、失敗した場合のリスクを最小限に抑えられる点にあります。

例えば、オンラインストアでの商品の販売、フリーランスとしてWeb制作やデザインの受託、オンラインでの語学やスキルの指導、コンサルティングサービスの提供など、自宅や大学の図書館などを活用して始められるビジネスは多いです。

実店舗を持つ場合や多額の在庫を抱える必要がある事業は、初期費用が高くなるため、スモールビジネスとしてのスタートにはあまり向きません。

また、小規模なところから始めることで、ビジネスモデルの検証や改善を比較的容易に行えますし、もし最初のビジネスがうまくいかなくても、大規模な損失を抱えることなく、新たなアイデアで再挑戦しやすいです。

そうしたスモールビジネスであれば、収益を上げながら将来的な事業拡大のための資金を貯めることも難しくはありません。

まずは、自身のスキルや興味を活かせる分野で、初期費用を抑えて始められるビジネスアイデアを検討してみることをおすすめします。

事業計画の重要性

事業計画の策定は、学生起業を成功させる上で非常に重要なプロセスです。

事業計画書は、単に資金調達のために作成するだけでなく、自身のビジネスアイデアを客観的に整理し、実現可能性や収益性を検討するためのツールとして活用できます。

事業計画を立てることで、事業の目的やビジョンが明確になり、どのような顧客に、どのような商品やサービスを提供し、どのように収益を上げるのかといった具体的なビジネスモデルを描くことができるでしょう。

市場調査や競合分析を行い、自社の強みや弱み、市場における機会や脅威を把握することで、より現実的で競争力のある戦略を立てられます。

資金計画を立てることで、事業開始までに必要な資金や、事業を継続していくために必要な運転資金を算出し、資金調達の方法や返済計画も具体的に検討可能です。

また、具体的な収益計画をしておくと、売上や費用、利益の予測を立てることで、事業の採算性を評価し、目標達成に向けた具体的な行動計画を立てられます。

事業計画書を作成する過程で、自身のビジネスアイデアの弱点や課題に気づき、事前に改善策を検討することも可能です。

場合によってはチームメンバーとビジョンや目標を共有し、それぞれの役割を明確にするためにも活用できるのではないでしょうか。

金融機関や投資家から資金を調達する際には、事業の将来性や成長性を説明するための重要な資料となるからこそ、必要に応じてコンサルタントなどの専門家からアドバイスを受けながら、事業計画の精度をアップさせていくのが良いでしょう。

学生起業に向いている事業内容

学生起業に向いている事業内容としては、初期投資を抑えられ、オンラインで完結しやすいIT関連の事業が挙げられます。

具体的には、以下のようなものが王道です。

  • Webサイトやアプリの開発
  • ITコンサルティング
  • オンライン教育(塾やスクール形式)
  • コンテンツ制作

以上で挙げたものは特別な設備がなくても始めやすい分野です。

自身のプログラミングスキルやデザインスキル、あるいは特定の分野に関する専門知識を活かすことができるなど、将来性もある事業内容と言えます。

学生向けのサービスや学生生活で感じた課題を解決するような事業も、学生ならではの視点を活かせるためおすすめと言えるでしょう。

例えば、学生向けの学習支援サービス、イベント企画・運営、フリーマーケットアプリ、シェアリングサービスなどが考えられます。

また、オンラインストアを立ち上げて自身のデザインした商品を販売したり、セレクトショップを運営したりするなど、アパレル分野での起業もありです。

一部、カフェ経営も学生に人気がありますが、実店舗を持つ場合は初期費用や教育費が高くなるため、慎重な計画が必要となるのではないでしょうか。

なお、不動産関連の事業など巨額の資金が必要となるものに関しては、学生が手を出すべきではありません。

不動産はすでに大手企業が建物や土地を所有している場合がほとんどで、素人が手を出して利益を出せるようになる確率はゼロに等しいと言えるでしょう。

重要なのは、自身の興味やスキルと結びついており、情熱を持って取り組める事業を選ぶことに加えて、市場のニーズがあるか、競合との差別化は可能か、どのように収益を上げるのかというビジネスの視点を持つこと。

まずはスモールスタートで経験を積み、徐々に事業を拡大していくのが良いのではないでしょうか。

学生向けのおすすめ起業アイデア例

学生におすすめの起業アイデア例としては、IT関連のサービスが挙げられます。

IT関連であれば、自身のプログラミングやデザインスキルを活かして、Webサイト制作、アプリ開発、動画編集、グラフィックデザインなどの受託業務を行うことが可能です。

クラウドソーシングサイトなどを活用すれば、学生でも仕事を見つけやすいでしょう。

また、オンラインでの学習支援サービスも需要があります。

自身の得意な科目やスキルを教えるオンライン塾や個別指導は、場所を選ばずに始めることが可能です。

何か特別な技術がある人は、特定の趣味やスキルに関するオンラインコミュニティを運営しつつ会員から収益を得る方法も考えられます。

アパレルに興味があるなら、オンラインストアを立ち上げて自身のデザインしたTシャツやアクセサリーを販売したり、海外から商品を仕入れて販売したりするのもありです。

SNSを活用すれば、マーケティングの活路も見出せるかもしれません。

自身の経験や専門知識を活かして、特定の分野に特化したコンサルティングサービスを提供するのも良いでしょう。

例えば、SNSマーケティングの支援、プレゼンテーション資料の作成代行など、学生の視点を活かせる分野は多岐にわたります。

ただ、カフェ経営は魅力的なアイデアですが、初期費用や環境が高いため、まずは間借りカフェやイベント出店といった形で小規模に始めるのがおすすめです。

不動産も学生が手を出すには難しい世界なので、どうしても不動産関連が良い場合は学生向けの物件情報を提供するWebサイトを運営したり、引越し時の不用品回収や家具の組み立て代行サービスを提供したりするところから始めることをおすすめします。

上記のアイデアはあくまで一例であり、自身の興味やスキル、市場のニーズを踏まえて、独自のアイデアを形にしていくことが重要です。

起業で必要となる費用

起業で必要となる費用は、事業内容や規模、選択する事業形態(個人事業主か法人か)によって大きく異なります。

起業で必要となる費用は、主に開業にかかる初期費用と、事業を継続していくための運転資金に分けることが可能です。

  • 初期費用
    オフィスや店舗の賃貸費用、内装工事費用、設備や備品の購入費用、仕入れ費用、Webサイト制作費用、広告宣伝費、法人設立にかかる登記費用など
    IT関連の事業などオンラインで完結する場合はこれらの初期費用を大幅に抑えることが可能
  • 個人事業主として開業する場合
    開業届の提出自体に費用はかからないが事業用の印鑑作成や必要に応じて税理士への相談費用などが発生する場合がある
  • 株式会社を設立する場合
    定款の認証手数料(約5万円)や登録免許税(資本金の0.7%、最低15万円)などがかかり、合同会社の場合は株式会社より費用を抑えられる
  • 運転資金
    家賃、人件費、仕入れ費用、広告宣伝費、通信費、交通費、税金、社会保険料など、事業を継続していくために毎月または定期的に発生する費用がある

起業では、以上の費用を賄えるだけの資金を確保しておく必要があります。

起業にかかる費用は、事業計画を具体的に詰めていく過程で明らかになってくるからこそ、必要な費用を正確に把握し、自己資金、借入、助成金などを組み合わせて資金を準備することが大切です。

最初は資金を抑えるために、自宅をオフィスとして利用したり、中古品を活用したり、必要なものだけを揃えたりするなど、工夫することで0円でのスタートを目指してください。

学生が起業で必要な税金や社会保険

次に、学生が起業で必要な税金や社会保険について見ていきましょう。

税金の基礎知識

学生が起業して事業所得を得た場合、所得税や住民税が課税されます。

税金の計算は、1年間の総収入から必要経費を差し引いた「所得」に対して行われるため、稼げば稼ぐほど税金を支払う必要があるわけです。

所得税の税率は、所得額に応じて段階的に高くなる累進課税制度が採用されており、住民税は、原則として前年の所得に対して課税され、所得割と均等割があります。

学生の場合、アルバイト収入がある場合は給与所得となり、事業所得とは別に計算されるので、所得を合算して税額が計算されるのが通例です。

所得税や住民税の申告・納付は、毎年3月15日までに行う必要があります(確定申告)。

自身で確定申告を行うことも可能ですが、簿記の知識や税法に関する理解が必要となるため、税理士に相談したり、会計ソフトを活用したりするのがおすすめです。

また、消費税についても、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合や、一定の要件を満たす場合は課税事業者となり、消費税の申告・納付が必要となるでしょう。

例外として、学生で親の扶養に入っている場合、事業所得が一定額を超えると扶養から外れることもあるので、十分に注意が必要となるのではないでしょうか。

なお、税法上の扶養は、合計所得金額が年間48万円以下(給与所得のみの場合は年収103万円以下)であることが条件です。

事業所得の場合は、収入から必要経費を差し引いた所得が48万円以下であれば扶養の範囲内となります。

扶養から外れると、親の税負担が増える可能性があるので、事前によくご確認ください。

社会保険の概要

学生が起業し、個人事業主または法人の代表者となった場合、社会保険への加入について理解しておく必要があります。

社会保険は、主に健康保険と年金保険を指し、病気や怪我、老齢、死亡などのリスクに備えるための公的な制度です。

個人事業主の場合、原則として国民健康保険と国民年金に加入します。

これらの保険料は、所得に応じて計算され、自身で納付することが必要です。

なお、学生の場合は20歳以上であれば国民年金への加入義務が生じますが、学生納付特例制度を利用することで、在学期間中の保険料納付を猶予してもらうことが可能です。

対して、法人を設立した場合は健康保険と厚生年金保険に加入することになります。

通常、保険料は会社と従業員(役員を含む)が折半して負担するものです。

役員報酬を支給する場合、その報酬額に基づいて保険料が計算されます。

税金と同様に学生で親の扶養に入っている場合、事業による収入が一定額を超えると、社会保険の扶養から外れることがあるため、要注意です。

社会保険上の扶養は普通、年収130万円未満であることが条件。

この年収には、事業による収入だけでなく、アルバイトなどの給与収入も含まれ、扶養から外れると自身で国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を全額負担する必要が生じます。

それにより手取り収入が減少する可能性があるので、事業収入が増加してきた際には社会保険への加入について検討する必要があるのではないでしょうか。

不明な点があれば、税理士や社会保険労務士などの専門家、あるいは年金事務所や健康保険組合に相談するのが良いでしょう。

オフィス選びとバーチャルオフィスの利用

学生が起業する場合、事業活動の拠点となるオフィス選びが必要となります。

物理的なオフィスを構える方法の他にバーチャルオフィスを活用する方法もありますが、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身の事業内容や予算に合った選択をすることが重要です。

オフィスをどこに構えるかは、事業の性質や規模、予算によって判断が分かれるでしょう。

物理的なオフィスを借りる場合、事業用のスペースを確保できるというメリットがありますが、賃料や光熱費、敷金・礼金など、まとまった費用が発生します。

学生の場合、これらの費用を負担することが難しい場合も多いのではないでしょうか。

自宅をオフィスとして利用することも可能ですが、プライベートとの区別が曖昧になったり、来客対応が難しかったりするのがデメリットです。

ゆえに、近年ではバーチャルオフィスを活用する学生起業家が少なくないです。

バーチャルオフィスとは、事業用の住所や電話番号を借りられるサービスであり、実際のオフィススペースを持たずに事業活動を行うことができます。

バーチャルオフィスを利用するメリットは、物理的なオフィスを借りるよりも大幅に費用を抑えられる点、一等地の住所を借りることで会社の信用力を高められる点にあります。

郵便物の受け取りや転送サービス、電話応対代行サービスなどを利用できる場合もあり、事務作業の効率化にも繋がるはずです。

ただ、実際のオフィススペースがないことで、来客対応や打ち合わせ場所に困る場合があるかもしれません。

もし取引先とのミーティングがある場合は、コワーキングスペースやレンタルオフィスを併用するなど、外部の場所も活用すると良いでしょう。

対して、不動産関連の事業ではない限りは物理的なオフィスが不要なケースもあるからこそ、オンラインでの活動が中心となるIT関連の事業などではバーチャルオフィスや自宅オフィスでも十分ではないでしょうか。

役員報酬の決め方

会社を設立した場合、役員に対して役員報酬を支払うことになります。

役員報酬の金額は自由に決められますが、税務上のルールや会社の経営状況を考慮して慎重に決定することが必要です。

適切な役員報酬の設定は、法人税や所得税、社会保険料の負担に影響するため、重要な経営判断の一つとなるでしょう。

なお、役員報酬は、会社設立後3ヶ月以内に決定する必要があります。

一度決定した役員報酬は、原則として事業年度の期間中は変更できません。

変更する場合は、事業年度開始日から3ヶ月以内に行う必要があり、株主総会の決議が必要です。

事業を開始したばかりでは役員も限られますが、もし役員報酬の金額を決定するという場合には、会社の売上や利益、将来的な事業計画、同業他社の役員報酬の水準などを考慮することが求められるでしょう。

役員報酬は、会社の経費として計上できるため、利益を圧縮し、法人税の負担を軽減する効果があります。

ただ、不相当に高額な役員報酬は税務署から否認されるリスクがあるため注意が必要です。

役員報酬をいくらに設定するかによって、会社が負担する法人税額と役員個人が負担する所得税額および社会保険料のバランスが変わってくるので、最適なバランスを見つけるために税理士などの専門家に相談するのが良いのではないでしょうか。

役員が複数いる場合は、それぞれの役割や貢献度、他の役員とのバランスも考慮して報酬額を決定することが必要です。

役員報酬の決め方には、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与といった税務上の区分があり、それぞれ損金算入の要件が異なります。

学生起業の場合、会社の資金繰りが安定するまでは、役員報酬を低めに設定したり、無報酬としたりすることも検討する必要があります。

会社の成長段階に合わせて、役員報酬の見直しを定期的に行うことも重要です。

おすすめの起業支援サービス

学生におすすめの起業支援サービスとしては、以下のようなものがあります。

  • 大学のキャリアセンターや起業支援部門
    ⇒起業に関する個別相談、セミナー、ワークショップ、ビジネスコンテストなどを実施しており、無料で利用できる
    ⇒学内のリソースやネットワークを活用できる
    ⇒特にビジネスコンテストは自身のアイデアを不特定多数の人に評価してもらう機会であり、資金調達や人脈形成にも繋がる可能性がある
  • 地方自治体や商工会議所が実施する創業支援窓口
    ⇒起業に関する相談に無料で応じている
    ⇒融資制度や補助金に関する情報提供、専門家によるアドバイスなどを受けることができる
    ⇒地域密着型の支援を受けたい場合。NPO法人や一般社団法人が運営する起業支援プログラムやコミュニティも多数存在します。これらの組織は、学生を含む若手起業家を対象としたメンタリングプログラムや交流イベントなどを開催しており、実践的なアドバイスや同じ志を持つ仲間との出会いの場を得られます。
  • オンラインの起業支援メディアやプラットフォーム
    ⇒専門的なメディアは、起業に関する幅広い情報を提供している
  • クラウドファンディングをサポートするプラットフォーム
    ⇒単独で利用するだけでなく、複数を組み合わせて活用することで、より多角的なサポートを受けられる

コンサルタントに個別に相談することも有効ですが、費用がかかる場合が多いです。

まずは無料で利用できて少ない費用しかかからない支援サービスから試してみるのが良いと思います。

よくある質問

最後に、学生起業に関してよくある質問とその回答をまとめました。

「一人で起業できますか?」

結論から言うと、一人で起業することは可能です。

個人事業主として開業する場合はもちろん、株式会社や合同会社を一人で設立することもできます。

ただ、一人ですべてをこなすのは容易ではないため、必要に応じて外部の専門家やフリーランスに業務を委託したり、パートナーを見つけたりすることも検討しましょう。

「起業するのに年齢制限はありますか?」

法律上、起業に年齢制限はありません。高校生や大学生でも起業することは可能です。

ただ、未成年の場合は、親権者の同意が必要となる場合があります。

「起業について誰に相談すれば良いですか?」

大学のキャリアセンターや起業支援部門、地方自治体の創業支援窓口、商工会議所、NPO法人などが挙げられます。

上記の機関では、起業に関する相談に無料で応じている場合があり、専門家からのアドバイスや情報提供を受けることが可能です。

また、起業家向けのコミュニティに参加することも、他の起業家から経験談やアドバイスを聞ける貴重な機会となるでしょう。

「学生でも融資を受けられますか?」

学生向けの融資制度や公的な融資制度があり、一定の要件を満たせば利用できる可能性があります。

まずは、日本政策金融公庫や地方自治体の制度などを調べてみてください。

他にはビジネスコンテストやクラウドファンディングも効果的な資金調達の手段です。

「事業アイデアが思いつきません」

自身の興味や経験、日常生活での課題からヒントを得たり、市場調査を行ったりすることが有効です。

既存のビジネスを参考に、独自のアイデアを加えてみるのも良いと思います。

学生企業を行う場合に役立つビジネス情報

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#カケハシ 編集部

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