ビジネスにおけるトスアップとは、企業内での効率的な連携を促進し、業務の流れをスムーズにすることを目的とした重要なビジネス用語です。
ただ、トスアップの意味がわからない人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事ではトスアップとは何か、営業におけるトスアップの役割、社外パートナーからのトスアップ、トスアップを効率的に行う方法、トスアップから生まれるビジネス成果を向上させる方法について詳しく解説します。
トスアップについて知りたい人は、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。

トスアップとは何か
まずは、トスアップとは何かについて見ていきましょう。
トスアップとは
トスアップとは、ビジネスにおける各プロセス間で情報やタスクを円滑に引き継ぐための仕組みのことを指します。
具体的には下記のように、営業プロセスごとに自らの受け持った内容を引き継ぐことをイメージしたもらうと分かりやすいかと思います。
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アポイント獲得担当
↓
商談担当
↓
クロージング担当
↓
カスタマーサクセスチーム
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従来、1人の担当者が顧客との接点から商談、契約に至る全ての工程を一貫して行うスタイルが一般的でした。
ただ、専門性や効率性が重視される現在では、特定の役割やスキルを持つチームがそれぞれの段階を担当することが主流となりつつあるわけです。
こうした背景の中で、トスアップは各チーム間でのスムーズな情報共有を実現し、顧客との信頼関係構築や成功率の向上において不可欠な役割を担います。
例えば、マーケティング部門で集めたリード情報が曖昧だったり、顧客のニーズに正確に対応していなかったりすると、受け取る営業チームの提案や対応が誤った方向に進む可能性があります。
営業におけるトスアップの役割
次に、営業におけるトスアップの役割について見ていきましょう。
営業チームでのトスアップの基礎
営業におけるトスアップの目的は、営業活動を成功に導くのに必要な基礎的な手段です。
例えば、初期接触を担うインサイドセールスが収集した情報を、商談担当のフィールドセールスへスムーズに渡すことで、顧客対応の流れが円滑になるわけです。
これにより、営業チーム全体で顧客の期待に応えやすくなるという利点が生まれ、ひいては成約へのスムーズな流れをもたらす大きな要因となるのです。
マーケティング部門から営業へのトスアップ
マーケティング部門から営業担当者へのトスアップとは、顧客情報を効果的に引き継ぎ、営業活動を円滑に進めるためのプロセスです。
トスアップする際に必要なのは、顧客の興味や過去の接触内容、課題となるペインポイントなど、営業チームが商談に活かせる具体的な情報の共有となります。
営業担当者はマーケティングが収集・分析した貴重な情報を把握し、顧客とのやり取りに活用することで、商談の質を向上させることが可能です。
インサイドセールスから営業へのトスアップ
インサイドセールス部門でのトスアップは見込み客から得た情報や関心を営業担当者へ引き継ぐ作業を指し、効率的にトスアップすることで次の商談がスムーズに進む土台を築くことが可能です。
インサイドセールスは、見込み客との接触を通じて顧客の関心を引き出し、ニーズを正確に理解することが求められます。
そのプロセスで集めた情報は、営業が商談成功へ向けたステップを踏む上で非常に大切な要素となるわけです。
例えば、顧客がどのような課題を抱えているのか、またどのような製品やサービスに興味を示したのかを詳細に把握しておくことは必要不可欠と言えるでしょう。
コールセンターから営業へのトスアップ
コールセンターは顧客との初期接点を持つ機会が豊富で、ここで得られる情報が営業活動を左右する要因となることもあります。
当部門におけるトスアップは、コールセンターが取得した顧客情報を営業部門に適切に引き継ぐプロセスを指し、適切に行われることで商談の質向上が可能です。
例えば、見込み客からの具体的な問い合わせ内容や懸念事項を迅速かつ正確に営業担当者へトスアップすることで、顧客のニーズに応じた提案が可能となります。
トスアップを効果的に行う際には、顧客が抱える課題や要望を詳細かつ的確に伝えることが不可欠です。
こうした正確な情報の連携は、営業が顧客の期待に応える高品質な提案を実現するための重要な一助となるでしょう。
トスアップ時は顧客の具体的な質問や要望を漏らさず共有することが必要であり、それにより顧客満足度の向上や商談の成功率アップが期待できます。
つまり、コールセンターで得られた情報を活用すれば、効率的に営業へと引き継ぐことが可能となるわけです。
コールセンターにおける準備のポイント
コールセンターでのトスアップとは、見込み客と営業担当者を繋ぐプロセスを指します。
このプロセスにおいて、見込み客のニーズをしっかり把握することが重要です。
電話中に顧客が示した具体的な興味や懸念事項を詳細にメモし、それを明確に営業担当者へ共有することがポイントと言えるでしょう。
また、過去の通話履歴を活用することで、顧客が同じ質問を繰り返す場合でも、営業担当者が迅速かつ適切に対応できるよう準備を整えることが求められます。
こうした一連のトスアップの流れを正確に行うことにより、顧客が安心感を持ち、信頼関係が強化されるはずです。
何より、その信頼関係が結果的に商談の成功率を向上させる要因となるでしょう。
トスアップを効率的に行うには、コールセンターのオペレーターが顧客とのコミュニケーションから得た情報を適切に記録・分類するスキルが必要不可欠と言えるでしょう。
社外パートナーからのトスアップ
社外パートナーからのトスアップは、自社では獲得出来ないさらなる領域の強化において最適な方法です。
具体的な方法ですが、自社サービス(または商品)を初見の顧客にアプローチするという部分を切り取って業務を委託するというシステムです。
多くのプロパー(=生産者)企業がこの手法を採用しており、企業の商圏拡大になくてはならない方法と言えます。
代理店のトスアップ
代理店とは、メーカーが直接顧客に販売する方法(=直販)ではなく、商品の販売やプロモーションを外部の事業者である代理店に委託する仕組みを指します。
この場合、トスアップという手法ではなく、自らが販売まで手掛けることが一般的です。
営業からクロージングまで一貫して引き受けてもらえると言う特性上、トスアップより利便性や収益性が高く、社外パートナー契約の中ではトスアップよりも遥かに人気の形態です。
まずは代理店を増やす方向で計画を立て、その後必要に応じてトスアップ企業を募る戦略を取る企業が多いようです。
▼代理店に関してさらに詳しく知りたい方は
代理店とは?役割とメリットや、販売店との違いも解説!
取次店からのトスアップ
取次店は、代理店よりもライトな契約という立ち位置で扱われることが多く、代理店の業務から『顧客へのクロージング』というステップを割愛したものが一般的です。
要するに、新規顧客への興味関心つけまでは自身で行い、その後の本格的な営業とクロージングはメーカーに依頼するという手法です。
この手法は営業不要という理由からかなり人気の手法となっており、営業リード獲得において大変重宝します。
ただ、販売からクロージングまではメーカーで行う必要があるため、削減できる営業工数はリード獲得の部分のみです。
営業は自社で行いたい方針がある場合や、ニッチな分野で営業にも知識が必要な場合などは取次店が選ばれる傾向にあります。
▼代理店に関してさらに詳しく知りたい方は
取次店とは?代理店との違いや紹介パートナーについて詳しく解説
社外パートナーを募る方法
代表的な募集方法を2点紹介します。
①自社の関係企業や縁故での紹介
関係構築が完成しているので、商材理解やトスアップの質が高い取り組みになります。
ただ、取次店(ないしは代理店)の母数を多く増やしていきたいと言う場合には、限界があるでしょう。
②代理店・取次店の専門募集サイトを活用する
代理店・取次店。フランチャイズ募集専門サイトカケハシでは、広く貴社サービスの認知拡大および代理店や取次店の募集を行うことが可能です。
また、カケハシでは代理店や取次店の掲載募集はもちろんの事、これから制度を作るor作りたいという段階からもご依頼可能です。
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トスアップを効率的に行う方法
ここからは、トスアップを効率的に行う方法について見ていきましょう。
部門間の連携をスムーズにする
部門間の連携をスムーズに行うには、共同作業のフローを見直すことが必要です。
プロジェクト管理ツールや共有システムを導入し、すべての担当者がアクセスできる情報のプラットフォームを整備することで、ビジネス全体の効率性が向上します。
結果的に、異なる部門がそれぞれの役割を認識しながら、タイムリーに情報をトスアップすることが可能となり、リアルタイムでの情報交換が円滑に進みます。
トスアップに関連する重要なデータがリアルタイムで更新される仕組みも整えることで、よりプロジェクトの進行を迅速かつ正確に進めることも可能です。
チーム内での情報共有を強化する
チーム内での情報共有を強化するには、コミュニケーションツールの活用が重要です。
チャットツールやタスク管理アプリを用い、情報を分散させることなく一元管理できる仕組みを整えることが、スムーズな業務遂行に直結します。
結果的に、営業チームを含むあらゆる部署でのトスアップ作業が効率化し、必要な情報が漏れずに引き継がれる環境を構築できるでしょう。
なお、メンバー同士が積極的に情報を提供し合える文化を育むことも大切です。
営業活動や他の業務において、情報共有が適切に行われれば、チーム全体の生産性が向上するとともに、各メンバーが役割を果たしやすくなります。
指示を明確にし、フィードバックを柔軟に受け入れる姿勢を持つことで、トスアップする際に必要な情報を迅速かつ正確に共有できる体制を作ることが可能となるでしょう。
プロセスの課題を明確化し最適化する
プロセスの課題を明確化し最適化することは、トスアップの成功に不可欠です。
トスアップの意味とは、本来の目的や成果を達成するために、業務や作業を引き継ぎ、次のステップへ円滑に移行することを指します。
このプロセスを最適化するためには、まず各ステップでのボトルネックを特定し、なぜその問題が発生しているのかを分析する必要があるでしょう。
問題の原因を洗い出すことで、業務プロセス全体を見直し、非効率な部分を改善する体制を構築することが可能になり、結果的に無駄を徹底的に排除し、効率的でスムーズな運用が実現できるのです。
最終的には、プロセスの最適化によって業務効率が向上し、組織全体のパフォーマンスのアップも期待できます。
ペルソナやターゲット認識を共有する
ペルソナやターゲット認識を共有することは、ビジネスにおけるトスアップする過程で重要な要素です。
顧客のニーズや行動パターンを正確に理解することで、情報を共有した際の効果が飛躍的に向上します。
そのため、ワークショップやセミナーを活用し、全メンバーがペルソナについて一致した理解を持つことが大切と言えるでしょう。
こうした取り組みによって、ターゲットの特性に基づき効果的にトスアップすることが可能となり、ビジネス全体の成果向上にも繋がるのではないでしょうか。
トスアップから生まれるビジネス成果を向上させる方法
ここでは、トスアップから生まれるビジネス成果を向上させる方法について見ていきましょう。
トスアップされた商談の質を高める要素
トスアップされた商談の質を高めるためには、事前の準備が不可欠です。
準備には、商談に先立って顧客のニーズや興味を把握する作業が含まれます。
顧客の期待を理解することで、営業担当者はトスアップする商談の中で具体的かつ的確な提案を行えるようになります。
これにより、顧客との信頼関係が構築され、結果としてビジネスの成功に導くことが可能です。
また、商談の目的を明確化し、何を達成したいかを事前に共有することが肝心です。
そのような準備を進めることで、営業担当者は効果的なコミュニケーションを実現し、自信を持って商談に臨むことができます。
商談目的の合意形成がもたらすメリット
商談目的の合意形成は、商談の成功に影響を与える重要なビジネスプロセスです。
明確な目的を持つことで会話がスムーズに進み、顧客との信頼関係をより深めることが可能になります。
また、商談中に目的が双方で共有されていることで、期待のずれを防ぎ、顧客のニーズに合致した提案を行うことに繋がるでしょう。
商談の最中に大切なポイントをしっかりトスアップすることで、顧客の関心を引き続けるだけでなく提案内容をより的確に伝えることができ、成約率の向上も期待されます。
結果的に営業活動の効率化が進み、次のステップへスムーズに移行できる道筋も明確化されるのです。
まとめ
トスアップとは、ビジネス環境における営業プロセスを円滑に進め、成果を最大化するための重要な手法を指します。
トスアップの意味を理解することで、企業は効率的かつ効果的な営業活動を実現することが可能です。
部門間での適切な情報共有や関連チームとの緊密な連携はトスアップを成功させる鍵となり、顧客アプローチに一貫性が生まれ、成約率の向上が期待できます。
同時に営業現場では、トスアップされた商談が成功へと繋がるよう、顧客のニーズを深く理解した上で相互理解と合意形成を行うことが必要不可欠です。
他にも社内だけでなく社外パートナーからのトスアップも、企業のビジネス成果に大きな影響を与えるので、情報を適切に活用して営業プロセスに組み込み、より成果を上げる基盤を構築することが求められるでしょう。
