フランチャイズ契約などで支払う加盟金の勘定科目は、金額によって異なります。
会計処理を正しく行うためには、適切な勘定科目を選び、消費税を含めた仕訳を理解することが重要です。
本記事では、加盟金の勘定科目や具体的な仕訳方法、繰延資産としての扱い、消費税の処理について詳しく解説します。
💡この記事を読まれている方におすすめの記事💡
▶フランチャイズとは?仕組みとメリットをわかりやすく教えます!
▶チェーン店とフランチャイズの違いとは?仕組みやメリット・デメリットを解説
▶最低保証制度のメリットとは?フランチャイズの制度紹介!

INDEX

フランチャイズ加盟金の勘定科目は支払金額によって決まる
フランチャイズ(FC)加盟金の会計処理で用いる勘定科目は、支払った金額が20万円以上か未満かによって判断します。
具体的には、20万円未満の場合は支払時に全額を費用として計上しますが、20万円以上の場合は一度資産として計上し、数年にわたって費用化する処理が必要です。
この金額基準は、税法上の少額の繰延資産の取り扱いに基づいています。
したがって、加盟金を支払った際はまず金額を確認し、適切な勘定科目を選択することが正しい会計処理の第一歩となります。
20万円未満の場合は「支払手数料」として費用計上する
支払った加盟金が20万円未満の場合、勘定科目は「支払手数料」として処理し、支払った期の費用として一括計上することが可能です。
これは、税法上、20万円未満の繰延資産は少額なものと見なされ、支出時に全額を損金算入(経費計上)できると定められているためです。
この処理により、経理上の手間を簡素化できます。
具体的な仕訳としては、借方に「支払手数料」、貸方に「現金」や「普通預金」などを記載します。
この方法を使えば、資産計上や毎期の償却計算が不要になるというメリットがあります。
20万円以上の場合は「長期前払費用」として資産計上する
加盟金が20万円以上の場合は、その効果が将来にわたって及ぶと考えられるため、支出時に全額を費用にはできません。
会計上は「長期前払費用」などの勘定科目を用いて資産として計上します。
これは、支払った対価が1年を超えてサービスや権利の提供を受けるための費用であるためです。
資産計上した加盟金は、後述する「繰延資産」として、契約期間などの一定期間にわたって規則的に費用化(償却)していく必要があります。
支払時の仕訳では、借方に「長期前払費用」、貸方に「普通預金」などを計上します。

加盟金を資産計上する際に用いる「繰延資産」とは
繰延資産とは、本来は費用に分類される支出のうち、その効果が将来の1年以上にわたって影響を及ぼすものを指します。
支払った時点では全額を費用とせず、一旦資産として計上し、効果が及ぶ期間にわたって少しずつ費用化(償却)していきます。
繰延資産には、会計上の繰延資産と税法上の繰延資産の2種類があり、フランチャイズの加盟金は税法上の繰延資産に該当します。
これにより、支出した期だけでなく、将来の収益と対応させて費用を配分することが可能となります。
加盟金が繰延資産として扱われる理由
加盟金が繰延資産として扱われるのは、その支出効果が支払った期だけでなく、将来にわたって持続するためです。
フランチャイズに加盟することで、ブランドの使用権や経営ノウハウといった無形のサービスを、契約期間中継続的に享受できます。
もし加盟金を支払時に一括で費用計上すると、まだサービスの提供を受けていない将来の期間の費用まで、前倒しで計上することになってしまいます。
そのため、収益と費用を適切に対応させる「費用収益対応の原則」に基づき、資産として計上した上で、効果が及ぶ期間にわたって償却する処理が行われます。
繰延資産の償却期間は原則として5年間
税法上の繰延資産である加盟金の償却期間は、原則として5年(60か月)と定められています。
これは、加盟によって得られるノウハウなどの効果が、特定の契約期間に限定されず、長期的に持続すると考えられているためです。
国税庁の指針においても、同業者団体等への加入金は繰延資産として5年で償却するとされています。
したがって、契約期間が5年以上の場合や、契約に期間の定めがない場合は、支払った加盟金を5年間にわたって均等に分割し、毎期の費用として計上していくことになります。
この処理により、各事業年度の損益計算がより実態に即したものとなります。
契約期間が5年未満の場合の償却期間の計算方法
繰延資産の償却期間は原則5年ですが、加盟の対価となる契約期間が5年未満で、かつ契約の更新に際して更新料の支払いが必要な場合は、その契約期間を償却期間とすることができます。
例えば、契約期間が3年で更新時に再度更新料が発生する契約であれば、加盟金を3年間で償却します。
この場合、加盟金の効果が及ぶ期間が契約期間内に限定されると解釈されるためです。
もし契約更新時に更新料が不要な場合は、実質的に契約が自動更新されると見なされ、原則通り5年で償却する必要があるため注意が必要です。

【ケース別】加盟金の具体的な仕訳方法をわかりやすく解説
ここからは、フランチャイズ加盟金を支払った際の具体的な仕訳方法をケース別に解説します。
金額が20万円未満の場合、20万円以上の場合、そして決算時に償却を行う場合の3つのパターンに分けて、それぞれの仕訳例を詳しく見ていきましょう。
ケース1:加盟金が20万円未満の場合の仕訳例
加盟金として15万円を現金で支払った場合の仕訳は以下のようになります。
支払額が20万円未満であるため、勘定科目は「支払手数料」を用いて全額を費用として計上します。
これにより、支払った事業年度に一括で経費処理が完了し、資産計上や償却計算は不要です。
支払手数料150,000円
現金150,000円
この仕訳により、15万円が費用として損益計算書に計上されます。
ケース2:加盟金が20万円以上の場合における支払時の仕訳例
加盟金として100万円を普通預金から支払った場合の仕訳例です。
支払額が20万円以上なので、資産科目である長期前払費用として計上します。
この時点では費用とはならず、貸借対照表の資産の部に計上されます。
長期前払費用1,000,000円 普通預金1,000,000円
この仕訳によって、会社の資産として100万円が計上され、これから数年にわたって費用化されることになります。
ケース3:決算時に繰延資産を償却する場合の仕訳例
上記のケース2で計上した長期前払費用100万円を決算時に償却する場合の仕訳です。
償却期間を原則の5年(60か月)と仮定し、期中に12か月が経過したとします。
年間の償却額は100万円÷5年=20万円です。
この金額を長期前払費用償却という費用勘定を用いて費用化し、同額を資産である長期前払費用から減額します。
借方 長期前払費用償却200,000円 貸方 長期前払費用200,000円
この仕訳により、資産が20万円減少し、費用が20万円発生します。

フランチャイズ加盟金にかかる消費税の会計処理
フランチャイズ加盟金は、国内において事業者が行うサービスの提供の対価と見なされるため、消費税の課税対象となります。
したがって、加盟金を支払う際は本体価格に加えて消費税を支払う必要があり、この消費税の会計処理についても正しく理解しておくことが重要です。
加盟金の消費税は支払時に全額を仕入税額控除できる
フランチャイズ加盟金にかかる消費税は、加盟金を支払った事業年度において、全額を仕入税額控除の対象とすることができます。
これは、たとえ加盟金の本体価格が「長期前払費用」として資産計上され、数年にわたって償却される場合でも同様です。
消費税法上、課税仕入れを行った日に全額を控除できると定められているため、加盟金の償却期間に合わせて消費税の控除を分割する必要はありません。
これにより、支払時の資金繰りに貢献する効果が期待できます。
消費税を含めた加盟金の具体的な仕訳例
加盟金110万円(うち消費税10万円)を普通預金から支払った場合の仕訳例です(税抜経理方式)。
加盟金の本体価格である100万円は20万円以上のため「長期前払費用」として資産計上し、消費税10万円は「仮払消費税等」として処理します。
長期前払費用1,000,000円 普通預金1,100,000円
仮払消費税等100,000円
この仕訳により、消費税額10万円は、その期の消費税申告時に仕入税額控除の対象となります。

加盟金の会計処理で注意すべきその他のポイント
フランチャイズへの加入にあたり支払う加盟金の会計処理には、これまで説明した基本的な仕訳以外にも、注意すべき点がいくつか存在します。
契約の途中解約や、性質の異なる保証金との違いについて正しく理解しておくことが大切です。
契約を途中で解約した際の未償却残高の処理方法
フランチャイズ契約を途中で解約した場合、「長期前払費用」として資産計上されている加盟金の未償却残高は、解約した事業年度に一括で費用処理します。
この際に用いる勘定科目は「長期前払費用償却」または「雑損失」などが一般的です。
例えば、100万円で計上した加盟金の未償却残高が60万円ある時点で解約した場合、その60万円を全額費用として計上します。
これにより、将来サービスを受ける権利が消滅した実態を会計帳簿に正しく反映させることができます。
返還されない「加盟金」と返還される「保証金」の勘定科目の違い
フランチャイズ契約時に支払う金銭には、加盟金のほかに「保証金」や「預託金」などがあります。
返還されない加盟金は繰延資産(または支払手数料)として処理しますが、契約終了時に返還される予定の保証金は性質が異なります。
返還される保証金は、将来返還請求できる権利であるため、勘定科目は「差入保証金」などを用いて資産として計上します。
この差入保証金は費用化(償却)の対象とはならず、契約が終了して返還されるまで資産として残り続けます。

加盟金の勘定科目に関するよくある質問
フランチャイズ(FC)加盟金の勘定科目や会計処理については、多くの経営者や経理担当者が疑問を抱きます。
ここでは、特によくある質問とその回答をまとめました。
実務上の判断に役立ててください。
加盟金を一括で経費に計上することは可能ですか?
支払額が10万円未満の減価償却資産は、原則として一括で経費計上が可能です。取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一括償却資産として3年間で均等に償却(費用化)できます。また、中小企業者等の場合、30万円未満の減価償却資産は、少額減価償却資産の特例を適用することで一括で経費計上することが可能です。一方、これらの特例に該当しない20万円以上の減価償却資産は、その効果が将来の売上獲得に貢献すると考えられるため、原則として資産計上し、契約期間などに応じて償却(費用化)する必要があります。
会計ソフトで加盟金の仕訳を入力する際の手順は?
会計ソフトでは、まず取引の日付と支払金額を入力します。
勘定科目は、金額だけでなく、ソフトウェアの種類(買い切り型かクラウド型か)によっても分類が異なる場合があります。一般的に、少額の場合は「消耗品費」や「通信費」、資産計上する場合は「ソフトウェア」などの科目を選択します。
資産計上した場合は、固定資産台帳に詳細を登録し、償却仕訳を自動で生成する機能を使うと便利です。
加盟金の更新料を支払った場合の勘定科目はどうなりますか?
フランチャイズ契約の更新時に支払う更新料も、新規加入時の加盟金と同様に会計処理します。
支払額が20万円未満なら「支払手数料」、20万円以上なら「長期前払費用」として資産計上し、更新後の契約期間にわたって償却を行います。

まとめ
フランチャイズ(FC)加盟金の勘定科目は、20万円を基準に「支払手数料」または「長期前払費用」を使い分けます。
20万円以上の場合は繰延資産として原則5年間で償却処理が必要です。
消費税は支払時に全額を仕入税額控除できます。
これらのルールを正しく理解し、自社の状況に応じた適切な会計処理を行うことが、健全な経営の基盤となります。
