結婚相談所の開業に必要な資格・資金|儲からない?失敗しないコツ

結婚相談所の開業は、特別な資格が不要で比較的参入しやすいビジネスとされていますが、一部の人からは「儲からない」という声も聞かれます。

どのような仕事にも言えることですが、事業を始める前には仕事内容や必要な資金、収益モデルを正しく理解することが不可欠です。

ただ、結婚相談所を始めたくても何から始めれば良いかわからない人も珍しくないです。

そこで、この記事では、結婚相談所の開業を検討している方に向けて、具体的な仕事内容から必要な資格や資金の内訳、事業を軌道に乗せるための方法、失敗しないための運営のコツまで詳しく解説します。

結婚相談所を開業する前に知っておきたい仕事内容

結婚相談所の仕事は、会員同士の出会いを仲介するだけではありません。

主な業務には、入会希望者へのカウンセリング、会員のプロフィール作成、お見合いのセッティング、交際中のフォローアップ、そして成婚に向けたアドバイスなどがあります。

重要なのは、会員一人ひとりの悩みや希望に寄り添い、信頼関係を築きながら成婚という目標まで伴走することです。

ただ、仕事内容は結婚相談所によって変わり、最近では会員の恋愛相談に乗ったり、プライベートの過ごし方について助言したりすることもあります。

要するに、成婚に繋がることすべてをサポートするのが結婚相談所の仕事です。

結婚相談所の開業に国家資格は不要!有利になる民間資格とは

結婚相談所を開業するにあたって、法律で定められた必須の国家資格はありません。

学歴や職歴に関わらず、誰でも開業を目指せるのが特徴です。

ただ、カウンセラーとしての信頼性や専門性をアピールするのに、業界団体が認定する民間資格を取得しておくことは必要かもしれません。

ここからは、結婚相談所の開業に有利になる民間資格について詳しく解説します。

開業に必須の資格はないが信頼性を高める民間資格

結婚相談所の開業に必須の資格はありませんが、取得しておくと会員からの信頼を得やすくなる民間資格は複数存在します。

代表的なものとして、日本仲人連盟(NNR)が認定する「仲人・結婚カウンセラー」や日本結婚相談協会(JBA)が認定する「婚活アドバイザー」が挙げられます。

これらの資格は、カウンセリングスキルや業界特有の技術・知識を客観的に証明するものであり、未経験から開業する人にとって武器となる資格です。

どのような資格を取得するかは自由ではあるものの、認定団体の規模やサポート体制、自身の事業コンセプトとの相性を考慮して選ぶと良いです。

カウンセリングやマーケティングのスキルが活かせる

結婚相談所の運営を成功させるには、資格以上に実践的なスキルが重要です。

例えば、会員が困っていることや悩んでいることに対して本音で向き合い、的確なアドバイスを送るためのカウンセリングスキルを身につけるだけで事業の根幹が生まれます。

また、事業を軌道に乗せるには自社の魅力を発信し、見込み客を集めるマーケティングスキルも必須です。

それらのスキルは、過去の営業職や接客業などの経験から培われている場合もあり、必ずしも多額の資金を投じて新たに学ぶ必要はありません。

まずは自身のキャリアを振り返り、活かせるアピールポイントを見つけ出すことが、独自のサービス提供に繋がります。

結婚相談所の開業資金はいくら?初期費用と運営費の内訳

結婚相談所の開業に必要な資金は、事業形態によって三者三様です。

自宅で個人として始めるのか、店舗を構えて法人として運営するのか、また結婚相談所連盟に加盟するか否かでも費用は変動するのが一般的。

ここでは、結婚相談所の開業資金はいくらか、初期費用と運営費の内訳について詳しく解説します。

開業時に必要な初期費用の目安と詳細

結婚相談所の開業に必要な初期費用は、一般的に30万円〜300万円程度が目安です。

主な内訳は、結婚相談所連盟への加盟金(50万円〜150万円程度)、事業用のスマホやパソコンの購入費、公式のWebサイトやパンフレットの制作費、広告宣伝費など。

店舗を構える場合は、物件取得費や内装工事費が加わり、さらに費用がかかります。

ただ、自己資金で不足しそうな場合は、国や地方自治体が提供する創業支援の助成金や補助金を活用することも可能だからこそ、うまく活用するのが良いでしょう。

事業継続のために必要な月々の運営資金

事業を継続していくには、毎月発生する運営資金を正確に把握しておく必要があります。

主な内訳として、連盟に支払う月会費やシステム利用料(合計で1万円〜数万円程度)、Webサイトの維持費、パンフレットの重版費、広告宣伝費、通信費など。

事務所を借りる場合は、家賃や水道光熱費もかかるのが一般的です。

これらの固定費を安定して支払い続けるには、結婚相談所に通っていただける会員を一定数確保し、継続的な収入を得る必要があるのではないでしょうか。

ゆえに、収支計画を立てる場合は、目標年収から逆算して、必要な会員数や売上目標を設定することが欠かせません。

結婚相談所の開業は儲からない?気になる年収の実態

次に、結婚相談所の開業は儲からないのか、気になる年収の実態について見ていきましょう。

「儲からない」と言われる3つの理由

結婚相談所が「儲からない」と言われる背景には、主に以下の3つの理由があります。

  1. 競合他社が多く、集客力が少ない
    ⇒どれほど広告宣伝に多額の費用をかけても、思うように会員が集まらないケースがある
  2. 収益化までに時間がかかる
    ⇒入会から成婚までには数ヶ月から1年以上かかることもあり、すぐに利益にはつながらない
  3. 手厚いサポートが求められる
    ⇒1人のカウンセラーが担当できる会員数に限界がある

以上のように、結婚相談所は「儲からない」と言われる要素がいくつかあるからこそ、会員とのエンゲージメントを確保し、信頼関係を築く努力が必要です。

結婚相談所の主な収入源と年収モデル

結婚相談所の主な収入源は、以下の通り。

  • 入会時に受け取る「入会金」や「登録料」
  • 毎月会員から支払われる「月会費」
  • お見合いのセッティングごとに発生する「お見合い料」
  • 会員が成婚した際に受け取る「成婚料」

これらの料金設定の方法は相談所によって十人十色です。

そのため、比較検討して戦略を立てる必要があります。

例えば、会員数50名で運営した場合、入会金や月会費、成婚料を合わせると年収1,000万円以上を目指すことも可能ではあるものの、現実的でない計画で進めてしまうとどこかで破綻する可能性があるでしょう。

まずは、どの料金項目に重点を置くかを考え、将来的に失敗しないビジネスモデルを描いていくことが重要ではないでしょうか。

あなたに合ったスタイルは?結婚相談所の主な開業方法

次に、スタイル別の結婚相談所の主な開業方法について見ていきましょう。

個人事業主として開業するケース

個人事業主として開業する方法は、法人設立に比べて手続きが簡便で、比較的限られた資本でも始められる点が魅力です。

自宅の一室を利用して開業すれば、初期投資は大幅に抑えることが可能です。

ゆえに、最近では人生経験が豊富な主婦の方をはじめ、40代〜50代からのセカンドキャリアとして考えている人に人気のスタイルとなっています。

「夫の扶養の範囲内で事業を始める」といった柔軟な働き方にも対応できるのがGOOD。

ただ、個人事業主の場合、事業で発生する責任はすべて個人で負うことになり、社会的な信用度の面でも法人に劣る可能性があります。

法人を設立して開業するケース

事業規模の拡大を目指す場合や社会的信用を重視する場合には、法人を設立して開業する方法がおすすめです。

法人格を持つことで、金融機関からの融資が受けやすくなったり、不動産の賃貸契約がスムーズに進んだりするのが利点です。

複数のスタッフを雇用し、本格的なオフィスを構えて事業を展開していくのであれば、法人化の方が有利に働きます。

ただ、法人設立には定款認証や登記などの手続きが必要で、時間と費用がかかります。

また、赤字であっても法人住民税の支払い義務が生じるなど、維持コストも負担となる可能性がある点に関しては、忘れてはなりません。

まずは副業からスモールスタートする選択肢

本業の収入がある状態で、副業として結婚相談所を始めるのも賢明な選択肢です。

週末や平日の夜間を利用して活動することで、リスクを最小限に抑えながら事業のノウハウを学ぶことができます。

未経験者でもフランチャイズの仕組みや連盟への加盟を利用すれば、運営システムや会員データベースを活用できるため、副業でもスムーズに事業を立ち上げることが可能です。

副業で経験と顧客基盤を築き、事業が軌道に乗ったタイミングで独立すれば、より安定した経営が見込めるので、副業からスタートするのもありだと思います。

自宅開業でコストを抑える

自宅開業は、事務所の賃料という固定費を削減できます。

開業においても初期投資を抑え、低リスクで事業をスタートさせることが可能です。

また、自宅の家賃や水道光熱費、通信費の一部を事業経費として計上できるため、節税効果も期待できます。

通勤時間も不要になるので、時間を有効活用できる点も魅力です。

ただ、会員との面談時に生活感が出てしまう可能性がある点やプライベート空間との線引きが曖昧になりがちな点には、事前の対策や工夫が求められるでしょう。

結婚相談所連盟に加盟してサポートを受ける

大抵の結婚相談所は、特定の連盟に加盟して事業を運営しています。

連盟に加盟する最大の利点は、連盟が持つ数万人規模の会員データベースにアクセスできることです。

結果的に、開業当初から幅広い会員への紹介が可能となり、集客負担を軽減できます。

また、大半の連盟では運営システムの提供をはじめ、開業前の研修や経営に関するアドバイスなど、手厚いサポート体制を整えているのが一般的です。

加盟金や月々の会費は発生するものの、業界未経験者にとっては安定した事業基盤を築くための有効な手段となるのではないでしょうか。

5ステップ!結婚相談所の開業準備から手続きまでの流れ

次に、結婚相談所の開業準備から手続きまでの流れについて見ていきましょう。

STEP1:事業の成功を左右する事業計画の策定

事業計画は、結婚相談所経営の成功を左右する設計図です。

まず、どのような層をターゲットにするのか(年齢、職業、地域など)を明確に定め、競合他社との差別化ポイントを考えます。

この段階で、提供するサービスの強みや独自のコンセプトを具体化することが重要。

また、それぞれの料金体系を決定し、売上目標や必要な経費を算出して収支計画を作成しておくことも見逃せません。

計画が曖昧なまま開業すると資金繰りに窮したり、方向性がぶれたりして失敗するリスクが出てくるからこそ、客観的なデータに基づき、現実的な計画を立てることが求められます。

むしろ、事業計画が最も重要です。

STEP2:自分に合った結婚相談所連盟を探して加入する

結婚相談所連盟への加盟は、開業後の事業運営をスムーズにします。

連盟によって加盟金や月会費、登録している会員の年齢層や特徴、提供されるシステムやサポート内容が変わるため、複数の連盟の資料を取り寄せたり、オンラインで開催される説明会に参加したりして、情報を比較検討することが重要です。

なお、自身の事業計画で定めたターゲット層と連盟の会員層が一致しているかは事前に必ず確認し、最も自分のビジネスモデルに合った連盟を選ぶようにしてください。

STEP3:集客の要となるWebサイトやSNSを準備する

現代において、オンラインでの情報発信は集客の生命線です。

公式Webサイトは、相談所の理念やサービス内容、料金プランなどを伝える重要なツールとなるので、信頼感を与えるデザインとわかりやすい情報提供を心がけることをおすすめします。

併せて、ブログで有益な情報を発信し「結婚相談」といったキーワードで検索する潜在顧客にアプローチすることも効果的です。

また、InstagramやX(旧Twitter)を活用し、カウンセラーの人柄や相談所の雰囲気を伝えることで、見込み客との距離を縮め、問い合わせに繋げるのも有効と言えます。

STEP4:事業に必要なオフィス環境と備品を整える

会員とのカウンセリングは、プライバシーが守られた落ち着いた環境で行うのが鉄則。

自宅開業の場合でも、生活スペースとは区切られた面談用の部屋を確保するのが理想です。

もし空間の確保が難しい場合は、近隣のレンタルスペースやホテルのラウンジを活用する方法もあります。

なお、開業に合わせて業務に必須となるインターネット回線や専用の電話番号、スマホやパソコン、プリンターも準備しておくと良いでしょう。

信頼感を与えるオフィス環境を整えることは、結婚相談所としてのブランドイメージを構築するのに役立つのではないでしょうか。

STEP5:税務署への開業届の提出など必要な手続き

事業の準備が整ったら、法的な手続きを行います。

個人事業主として開業する場合、事業を開始した日から1ヶ月以内に、所轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出することが義務付けられています。

この際、節税効果が見込める「青色申告承認申請書」も同時に提出しておくのが良いです。

それにより、最大65万円の所得控除などのメリットを受けることが可能です。

なお、手続き自体は難しくないものの、期限がある点にはご注意ください。

法人として開業する場合は、定款認証や法人登記が必要となるので、専門家への相談も進めておきましょう。

失敗事例から学ぶ!結婚相談所経営を成功に導く5つのコツ

最後に、結婚相談所経営を成功に導く5つのコツについて見ていきましょう。

コツ1:他社との差別化を図り独自の強みを見つける

数多くの結婚相談所の中から自社を選んでもらうには、明確な「強み」が必要です。

「特定の年代専門」「特定の職業専門」「趣味や価値観でのマッチング重視」という具合に、ターゲットを絞り込んで専門性を担保することで、独自のポジションを築けます。

また、カウンセラー自身の人生経験やキャリアを活かしたサポート体制をアピールするのも有効な戦略の1つと言えるでしょう。

まずは自社が提供できる独自の価値は何かを深く考え、顧客層に的確にメッセージを届けることが、競争を勝ち抜く鍵となるのではないでしょうか。

コツ2:コストを最小限に抑えて低リスクで始める

開業当初はまだ収益が不安定な時期です。

この段階で莫大な固定費を抱えると資金繰りが悪化し、事業継続が困難になります。

そのため、最初はできるだけコストを抑えたスモールスタートを心掛けるべきです。

例えば、いきなり店舗を借りるのではなく、自宅開業やレンタルスペース、ホテルのラウンジの活用という具合に、節約しながら運営できる方法を検討します。

広告宣伝費も、まずはSNSやブログなど、低予算で始められるオンライン集客を中心に展開するのが理想です。

将来的に、事業の成長に合わせ段階的に投資していくことで、健全な財務状況を維持できれば、何年何十年と経営していくことも夢ではありません。

コツ3:オンラインでの集客チャネルを複数確保する

集客を単一の方法に頼っていると、1つの方法でうまくいかなくなった場合に、一気に経営が傾いてしまう危険性があります。

ゆえに、安定した集客を実現するには、複数のチャネルを確保しておくことが重要です。

例えば、WebサイトやブログによるSEO対策、SNSの運用、地域の情報サイトへの掲載、リスティング広告など、様々な方法を組み合わせるのが肝心。

各チャネルの特性を理解し、ターゲット層に応じて最適なアプローチを行えれば、継続的に見込み客を獲得し、事業の安定化に繋がるでしょう。

コツ4:質の高い会員サポートで口コミや紹介につなげる

新規会員を獲得することも大切ですが、それ以上に重要なのが、入会してくれた会員一人ひとりへの手厚いサポートです。

会員の心配や不安に親身に寄り添い、きめ細やかなカウンセリングを提供することで、会員の満足度は向上します。

このように一定の満足度を保つことは、成婚率の向上に直結するだけでなく、口コミやレビューといった評判となって自然に拡散されていきます。

既存会員からの紹介は、広告費をかけずに新規会員を獲得できるチャンスで、最も効果的かつ信頼性のある集客方法です。

ゆえに、会員との信頼関係構築は最優先事項と捉えても問題ありません。

コツ5:経営者としての知識を身につけ学び続ける

結婚相談所の運営は、単なるカウンセリング業務だけではありません。

事業を継続させるには、経営者としての視点と発想が不可欠です。

集客のためのマーケティング、売上や経費を管理する会計、個人情報保護法をはじめとする関連法規など、学ぶべき分野は多岐に渡ります。

婚活市場のトレンドや集客手法のツールは日々変化していくからこそ、常にアンテナを張り、業界のセミナーに参加したり同業者と情報交換したりするなど、積極的に学び続ける姿勢が求められるのではないでしょうか。

まとめ

結婚相談所の開業は、特別な資格が不要で様々なスタイルで始められます。

反対に、結婚相談所で成功するには周到な準備と戦略が必須です。

ゆえに、事業を始める前には仕事内容や収益構造を理解し、自身の強みを活かした事業計画を策定することを忘れてはいけません。

開業後に一定の収益があっても、油断してはなりません。

なお、開業資金は初期費用と運営費に分けて具体的に算出し、必要に応じて自宅開業や副業といった低リスクな方法を選択することをおすすめします。

結婚相談所として将来的に事業を拡大していくには他社との差別化、コスト管理、複数の集客チャネルの確保、会員サポート、そして経営者として学び続ける姿勢が重要です。

まずは、当記事で解説した内容を参考に、事業計画を立ててみましょう。

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#カケハシ 編集部

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