たこ焼き屋は儲かる?開業前に知るべき利益の仕組みと成功の理由

たこ焼き屋は儲かるのかという疑問は、開業を考える多くの人が抱くものです。

結論から言えば、たこ焼き屋は低い原価率と高い需要を背景に、利益を出しやすいビジネスモデルと言えます。

ただ、たこ焼き屋で生計を立てるには、利益の仕組みを理解し、綿密な計画が不可欠です。

そこで、この記事では、たこ焼き屋が儲かる理由から、具体的な収益シミュレーション、開業資金、成功のための経営戦略までを詳しく解説します。

たこ焼き屋が儲かると言われる3つの理由

たこ焼き屋がビジネスとして儲かるとされる背景には、商売の基本である「安く仕入れて高く売る」を実現しやすい構造と、幅広い顧客層からの安定した需要にあります。

うまく地元のニーズに対応できれば、たこ焼き屋だけで生計を立てることは十分可能です。

まずは、たこ焼き屋が儲かると言われる3つの理由について見ていきましょう。

1. 材料費が安く原価を抑えられるから

たこ焼き屋の強みは、原価率の低さにあります。

主な材料である小麦粉、タコ、卵、ネギ、天かすなどは、他の飲食業で使用される食材と比較して安価に仕入れることが可能です。

一般的に、たこ焼きの原価率は25%から35%程度。

仮に、500円でたこ焼きを販売する場合、原価が150円、差額の350円が粗利益となります。

たこ焼きは、売上に対して材料費が占める割合がさほど高くないため、一つ売れるごとの儲けが大きくなりやすい構造です。

原価を小さくできる点は、安定した収益を確保するのに有利と言えるでしょう。

2. 老若男女に愛される定番メニューだから

たこ焼きは、お子さんからお年寄りの方まで、幅広い年齢層に親しまれている国民的なソウルフードなので、特定の客層に限定されず、幅広い人々をターゲットにできます。

また、ランチの一品として、小腹が空いた時のおやつとして、あるいは夕食のおかずやお酒のおつまみとして、様々な食事シーンで需要が見込めるのです。

流行り廃りの影響を受けにくく、季節を問わず年間を通して安定した売上が期待できる定番メニューであることは、長期的な視点でビジネスを継続していくのに効果的なアドバンテージと言えるのではないでしょうか。

3. 小さなスペースでも開業できるから

たこ焼き屋は、大規模な厨房設備や広い客席スペースを必要としないビジネスモデルです。

テイクアウト販売が主流であるため、調理と提供を行う最小限のスペース、例えば1〜2坪程度の面積でも開業できます。

これにより、物件取得にかかる費用や月々の家賃といった固定費を大幅に削減が可能。

初期投資を抑えたい個人での開業においては、その点だけでも十分なメリットです。

限られたスペースで運営できる手軽さは、駅の構内やスーパーの軒先など、様々な立地での出店を可能にし、ビジネスチャンスを拡大できる要因にもなっています。

たこ焼き屋のリアルな収益構造をシミュレーション

たこ焼き屋が儲かるかどうかをより具体的に理解するには、実際の数字から収益構造を見ていくとわかりやすいため、詳しく解説します。

1パックあたりの原価や利益率から、月間の売上と利益、そして最終的な年収の目安までをシミュレーションするので、参考にしていただければ幸いです。

たこ焼き1パックあたりの原価と利益率の目安

たこ焼きの利益構造を理解するには、1パックあたりの原価を知ることが重要です。

仮に8個入りのたこ焼きを500円で販売する場合を考えてみましょう。

たこ焼きの原価率は一般的に30%前後が目安とされており、仮に500円で販売した場合の原価は150円となります。

この原価には、タコ、小麦粉、ネギ、天かす、ソース、マヨネーズといった食材費のほか、舟皿や爪楊枝、袋などの消耗品費も含まれます。

そのため、1パック販売するごとに得られる粗利益は350円(500円-150円)となり、利益率は70%に達するわけです。

つまり、売り方さえ工夫すれば、たこ焼き屋は儲かるビジネスと言えるでしょう。

月間の売上と利益はいくらになる?

1パックあたりの利益をもとに、月間の収益をシミュレーションすることも重要です。

例えば、客単価を500円とし、平日は80人、休日は150人のお客さんが来店するたこ焼き屋を想像してみてください。

月の営業日数を25日(平日17日、休日8日)と仮定すると、月間売上は(500円×80人×17日)+(500円×150人×8日)で128万円となります。

そこから原価(128万円×30%=38.4万円)と、家賃や人件費、水道光熱費などの諸経費(仮に40万円)を差し引くと、月間の営業利益は約49.6万円と算出できます。

もちろん、これはあくまで一例ではあるものの、立地や集客力によってはより稼ぐことも可能です。

まずはどれくらいの集客が見込めそうなのか、イメージしてみてはいかがでしょうか。

たこ焼き屋の平均年収はどのくらい?

たこ焼き屋経営者の平均年収は、一般的に300万円から600万円程度が目安とされます。

ただ、この金額はあくまで平均的なものであり、経営者の手腕や店舗の立地、営業形態によってそれぞれ変わってくるのが実情です。

例えば、月間利益49.6万円が12ヶ月続けば、年間の利益は約595万円になります。

一方で、売上が伸び悩めば年収300万円に届かない可能性も十分にあるのです。

逆に、複数店舗の展開やイベント出店などで成功を収め、年収1,000万円以上を稼ぐ経営者も存在するからこそ、収入は青天井と言っても過言ではありません。

開業スタイル別に見る初期投資の金額

たこ焼き屋の開業を具体的に進めるにあたり、最も重要な要素の一つが初期投資です。

どのようなスタイルで開業するかによって、必要となる資金額が変わります。

ここからは、代表的な開業スタイルである「店舗型」と「キッチンカー(移動販売)」の2つを取り上げ、それぞれのメリット・デメリットと共に、必要となる初期費用の目安について見ていきましょう。

テナントを借りる店舗型の開業資金

店舗を構えてたこ焼き屋を開業する場合、初期費用は300万円から1,000万円程度が相場。

主な内訳は、物件取得費(保証金、礼金、仲介手数料など)、内外装工事費、厨房設備費(業務用たこ焼き器、冷蔵庫、調理台など)、そして開業当初の運転資金です。

なお、物件取得費は都心部や一等立地ほど高額になる傾向があります。

ただ、居抜き物件を活用すれば内外装工事費や設備費を大幅に抑えることができ、初期投資を200万円程度にまで圧縮することも不可能ではありません。

安定した場所で腰を据えて営業したい場合は、テナントを借りるのが無難かもしれません。

キッチンカー(移動販売)で始める場合の開業資金

キッチンカーで移動販売を行う場合の初期費用は、250万円から500万円程度が目安。

費用の大部分を占めるのが、車両購入費とたこ焼き屋仕様にするための改造費です。

新車か中古車か、また搭載する厨房設備のグレードによって金額は変動します。

店舗型と比べて物件取得費や内外装工事費が不要ということもあり、初期投資を抑えられるのが最大の魅力と言えるでしょう。

移動販売であれば平日と休日で出店場所を変えたり、イベントに積極的に参加したりすることで、屋台のような柔軟な営業展開も可能ではないでしょうか。

利益を最大化する!儲かるたこ焼き屋の経営戦略

たこ焼き屋で稼ぐには、ただ開業するだけでなく戦略的な経営が不可欠です。

ライバルが多数存在する中で、顧客に選ばれ、リピーターになってもらうための工夫が求められます。

ここでは、提供スピードの向上から商品の差別化、立地選定、そして効果的な集客方法まで、利益を最大化するための具体的な4つの経営戦略について見ていきましょう。

スピーディーな提供で回転率を上げる

たこ焼き屋の売上は、客数と客単価に加えて回転率が影響します。

例えば、昼食時や夕方などのピークタイムには、いかにお客さんを待たせずスムーズに商品を提供できるかが重要です。

注文を受けてから焼き始めるのでは時間がかかり、行列ができると販売機会の損失に繋がりかねません。

ゆえに、ある程度の見込み焼きをしつつ、焼きたてを提供できるようなオペレーションを構築することが必要不可欠です。

効率的な動線を確保し、調理から会計までの一連の流れを最適化することで効率的な回転が生まれ、結果として儲けの最大化に直結します。

特色あるソースやトッピングで差別化を図る

たこ焼き屋が競合する中、自店を選んでもらうためには他店との差別化も不可欠です。

定番のソースやマヨネーズだけでなく、オリジナルの味で個性を打ち出しましょう。

例えば、激辛ソース、明太マヨネーズ、チーズフォンデュ風、さっぱりとした塩だれやポン酢など、独自の味付けやトッピングを開発することで、より強烈な印象をお客さんに与えることができます。

また、季節限定メニューを提供することもリピーターを飽きさせない工夫の一つです。

特色ある商品開発は、口コミやSNSでの拡散も期待でき、集客の強力な武器となります。

出店場所選びで売上は大きく変わる

どれだけ美味しいたこ焼きを作っても、お客さんがいない場所で営業していては売上は立ちません。

立地選定は、たこ焼き屋の成功を左右する最も重要な要素の一つです。

ターゲットとする顧客層が多く集まる場所を見極める必要があります。

例えば、学生や会社員を狙うなら駅前やオフィス街、家族連れをターゲットにするならスーパーマーケットの軒先や大型商業施設、イベント性を重視するならお祭りやフェス会場などが候補になります。

人通りの量だけでなく、周辺の競合店の状況や客層の流れを事前にリサーチし、戦略的に出店場所を決定することが重要です。

SNSで集客してファンを増やす方法

現代の集客において、InstagramやX(旧Twitter)といったSNSの活用は欠かせません。

SNSは費用をかけずに始められる宣伝ツールで、お店のファンを獲得する重要な手段です。

シズル感(ジュージュー焼ける音が聞こえるような)溢れるたこ焼きの写真や動画を投稿するのはもちろん、新メニューの告知、出店場所の案内、キャンペーン情報などをリアルタイムで発信することをおすすめします。

また、お客さんからのコメントに丁寧に返信するなど、双方向のコミュニケーションを心がけることで親近感が生まれ、リピート来店に繋がります。

お客さんにとって、魅力的な情報を発信し続けることが何より重要です。

開業前に準備すべき資格と営業許可

最後に、開業前に準備すべき資格と営業許可についてご確認ください。

必須の資格「食品衛生責任者」とは

たこ焼き屋を開業するためには、店舗ごとに必ず1名以上の「食品衛生責任者」を置くことが食品衛生法で義務付けられています。

この資格は、食中毒の防止や施設全体の衛生管理を担う重要な役割を持ちます。

ただ、資格の取得自体は難しくなく、各都道府県が開催する養成講習会を1日受講すれば基本的に誰でも取得が可能です。

講習では、食品衛生学や公衆衛生学、食品衛生法規などを学ぶのが一般的です。

なお、調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格をすでに持っている場合は、講習会を受けずに食品衛生責任者になることも可能。

資格を持っていない人は、開業準備の段階で取得しておきましょう。

保健所への「飲食店営業許可」の申請について

食品を調理し、客に提供する事業を行うには、店舗の所在地を管轄する保健所から「飲食店営業許可」を取得する必要があります。

その許可を得るためには、保健所が定める施設の基準(手洗い設備の数や構造、換気設備など)をクリアしなければなりません。

ゆえに、店舗の内装工事を始める前に、必ず施設の図面を持参して保健所に事前相談に行くことが重要です。

工事完了後、保健所の担当者による施設検査を受け、基準を満たしていることが確認されれば、晴れて営業許可が交付されます。

キッチンカーで開業する場合も同様に許可が必要です。

まとめ

たこ焼き屋は、原価率の低さ、幅広い客層からの高い需要、省スペースでの開業が可能といった理由から、利益を出しやすいビジネスモデルです。

シミュレーションが示すように、適切な経営を行えば個人でも十分な収入を得る可能性があります。

ただ「たこ焼き屋は儲かる」という言葉を現実にするには、開業スタイルに応じた綿密な資金計画、他店との差別化を図る経営戦略、そして食品衛生責任者や飲食店営業許可といった法的な準備を怠れません。

まずは、本記事で解説したポイントを踏まえ、成功への道筋を具体的に描き出してみてください。

author

#カケハシ 編集部

#カケハシ 編集部

PREVIOUS

NEXT

関連記事

ランキング