個人経営で弁当屋を開業することは、比較的省スペースから始められ、テイクアウト需要にも対応できるのが魅力です。
ただ、事業を始める前に必要な資格や販売許可、開業までの具体的な流れを正確に理解しておくことが欠かせません。
そこで、この記事では弁当屋の開業スタイルから必須の資格、営業スタイル別の資金目安、開業までの7つのステップ、成功のポイントまでを詳しく解説します。

INDEX
個人経営で弁当屋を開業する3つのスタイル

個人で弁当屋を開業する場合、主に3つの営業スタイルが主流です。
- 店舗型:物理的な店舗を構えて顧客と対面でやり取りするスタイル
- 宅配専門型:調理スペースのみを確保してデリバリーするスタイル
- キッチンカー型:車を改造して様々な場所へ移動して営業するスタイル
それぞれのスタイルにメリット・デメリットがあるため、自身の資金計画やコンセプトに合わせて最適な方法を選択することをおすすめします。
店舗を構えて対面販売する
店舗を構えて対面で商品を販売するスタイルは、弁当屋の最も一般的な形態です。
この方法のメリットは、お客様と直接コミュニケーションを取れることで、店のファンやリピーターを作りやすい点にあります。
また、物理的な店舗があることで地域社会からの信頼を得やすく、それぞれのブランドイメージを構築しやすい側面も持ち合わせています。
一方で物件取得費や内装工事費、毎月の家賃といった固定費がかかりやすい傾向があり、初期投資が膨らみがちなのがデメリットです。
なお、立地が売上に直結するのも特徴で、開業前のエリア選定と市場調査が欠かせません。
反対に優れた立地に開店できれば、対面での販売を通じて顧客の生の声を聞きながら、メニュー改善やサービス向上も進めていけるスタイルと言えるでしょう。
専門のデリバリーサービスで提供する
宅配専門は、調理場のみを設けてUberEatsなどのデリバリープラットフォームを通じて商品を販売する、いわゆるゴーストレストランと呼ばれる営業形態。
このスタイルの最大のメリットは、店舗型に比べて物件取得費や内装費、人件費などの初期費用と運営コストを大幅に抑えられる点にあります。
また、プラットフォームが持つ集客力を活用できるため、自前での宣伝活動の負担を軽減できるのも魅力です。
ただ、売上の一部をプラットフォームへの手数料として支払う必要があり、利益率が圧迫される可能性がある他、顧客との直接的な接点がなく、リピーターの育成や顧客情報の収集が難しいというデメリットも考慮しなければなりません。
効率的に販売したい人にぴったりのスタイルではないでしょうか。
キッチンカーで移動販売する
キッチンカーを利用して弁当を移動販売するスタイルは、自由度の高さが魅力と言えます。
ランチタイムのオフィス街やイベント会場、公園など、需要が見込まれる場所へ自ら出向いて営業できるので、立地に縛られません。
車両購入・改造費だけで済むのも魅力です。
対して、売上が天候に左右されやすい不安定さや営業場所の確保が課題となります。
公道で販売する場合は警察署の道路使用許可、公園や私有地では管理者の許可が別途必要な他、仕込みを行うための別の場所や電源・水の確保といったインフラ面での制約も考慮することが必要です。
ゆえに、フットワークを活かした販売戦略が欠かせません。
弁当屋の個人開業に必須の資格と許可

次に、弁当屋の個人開業に必須の資格と許可について見ていきましょう。
保健所の「飲食店営業許可」を取得する
弁当屋を開業するには、営業所を管轄する保健所から「飲食店営業許可」を取得することが法律で義務付けられています。
この許可を得るためには、保健所が定める施設の基準を満たさなければなりません。
それぞれの基準にはシンクの数やサイズ、給湯設備の有無、手洗い設備の設置、冷蔵設備の性能、床や壁の材質など、衛生管理に関する細かな要件が含まれ、申請手続きは以下の流れが一般的です。
- 保健所への事前相談
- 申請書類の提出
- 施設の工事完了後の実地検査
- 許可証の交付
以上の施設検査で基準を満たしていないと許可は下りないため、物件選びや内装設計の段階から保健所に相談し、指導を受けながら進めるのが確実です。
申請から許可が下りるまで数週間かかる場合もあるので、余裕を持ったスケジュールで準備を進める必要があります。
各店舗に1人「食品衛生責任者」を配置する
飲食店営業許可を取得する施設には、必ず1名の「食品衛生責任者」を配置することが食品衛生法で定められています。
食品衛生責任者は施設の衛生管理を徹底し、食中毒などの事故を防ぐ存在です。
資格を取得する方法は、主に2つです。
- 調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格を保有している有資格者は申請するだけで食品衛生責任者になることができる
- 資格を保有していない場合でも、各都道府県などが実施する食品衛生責任者養成講習会を受講することで資格が与えられる
開業においては、本人が資格を取得するか資格を持つ従業員を雇用することで、要件を満たす必要があります。
調理師免許はなくても開業できる?
結論から言うと、弁当屋を開業するために調理師免許は必須ではありません。
法律上、必ず必要となるのは「食品衛生責任者」の資格と「飲食店営業許可」の2つです。
調理師免許を保有していなくても、前述の通り食品衛生責任者養成講習会を受講すれば資格を取得でき、開業の条件を満たすことが可能です。
ただ、調理師免許を持っていることには利点もあります。
まず、養成講習会を受講せずとも食品衛生責任者になることができます。
また、調理に関する専門的な知識や技術を持っていることの公的な証明となり、お客様からの信頼を得やすくなるという側面も考えられるでしょう。
免許の有無が開業の可否を直接決めるわけではありませんが、店の信頼性やアピールポイントとしては役立つのではないでしょうか。
移動販売の場合は「道路使用許可」も必要になる
キッチンカーで弁当の移動販売を行う場合、食品衛生法に基づく「飲食店営業許可」に加えて、営業する地区に応じた許可が必要になります。
特に、道路上で停車して営業活動を行う場合には、その地区を管轄する警察署から「道路使用許可」を取得しなければなりません。
この許可は、交通の妨げにならないか、周辺環境への影響はどうかといった観点から審査されるのが一般的で、申請すれば必ず許可が下りるわけではなく、時間や場所によっては認められないこともあるなど注意が必要です。
また、公園、イベント会場、商業施設の敷地内などで営業する場合は、各土地の管理者から個別に営業許可を得る必要があります。
移動販売を計画する場合は、出店したい場所ごとにどのような許可が必要になるかを事前にリサーチし、手続きを漏れなく行うことが重要です。
個人経営で弁当屋を始める3つのメリット

次に、個人経営で弁当屋を始める3つのメリットについて見ていきましょう。
小さなスペースからでも始められるため初期費用を抑えやすい
弁当屋は、イートインスペースを主体とするレストランと比較して、小規模なスペースから開業できる点が大きなメリットです。
主な業務は調理と販売で、お客様が食事をするための客席や対応する接客スタッフを確保する必要は基本的にありません。
ゆえに、比較的コンパクトな物件でも運営が可能となり、物件取得費や月々の家賃を抑えることができます。
また、厨房設備も事業規模に合わせて最小限のものから揃えることができ、内装工事費などの初期投資を大幅に圧縮することが可能です。
中でも、厨房機能に特化したデリバリー専門のゴーストレストランや既存の飲食店の厨房を借りる間借り営業といった形態を選べば、さらにリスクを抑えて事業をスタートさせることができます。
テイクアウトやデリバリー需要の増加で追い風がある
現代社会では、共働き世帯や単身世帯の増加、在宅勤務の普及といったライフスタイルの変化を背景に調理済みの食事を自宅や職場で楽しむ「中食」の需要が高まっています。
現に、テイクアウトやデリバリーサービス市場は急速に拡大しており、業界全体的に弁当屋に追い風となっているのです。
消費者は手軽に専門店の味を楽しみたいと考えており、ハイクオリティな弁当へのニーズは決して低くありません。
この市場の成長は、新規に開業する個人経営の弁当屋にとっても安定した売上を確保し、事業を軌道に乗せるためのチャンスとなるでしょう。
それぞれ時代のニーズに合った商品やサービスを提供することで、より顧客を獲得できる可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。
お客様は軽減税率でお得に購入できる
弁当のような持ち帰りを基本とする飲食料品には、消費税の軽減税率8%が適用されます。
反対に、店内飲食(イートイン)の場合は標準税率の10%が適用され、同じ価格の商品であってもお客様が最終的に支払う金額には差が生じるのが一般的です。
この2%の税率差は、お客様にとって実質的な割引となり、価格面での訴求力を高める要因となり、日常的に利用するランチなどではわずかな価格差が購入の決め手になることも珍しくありません。
それらの制度は、テイクアウトを主力とする弁当屋に有利に働き、顧客の購買意欲を後押ししてくれるのではないでしょうか。
結果として、よりお客様に選んでもらう機会も生まれ、売上の向上に貢献する要素となるでしょう。
【営業スタイル別】弁当屋の開業に必要な資金の目安

ここからは、営業スタイル別の弁当屋の開業に必要な資金の目安について見ていきましょう。
店舗型で開業する場合の初期費用
店舗を構える形態の弁当屋を開業する場合、初期費用は営業スタイルの中で最も高額になる傾向があります。
主な内訳は、物件取得費(保証金、礼金、仲介手数料など)、厨房設備費(冷蔵庫、コンロ、フライヤーなど)、内装・外装工事費、調理器具や食器といった備品購入費、広告宣伝費、そして開業当初の運転資金です。
物件の立地や規模、居抜き物件かスケルトン物件かによって費用は変動しますが、一般的には500万円から1,000万円程度が目安。
ゆえに、都心部や駅前などの好立地では物件取得費だけで数百万円に上ることもあり、入念な資金計画と自己資金の準備が必要です。
まずは適切な見積もりを取り、余裕を持った資金を確保することが求められます。
宅配専門で開業する場合の初期費用
デリバリーサービスを利用した宅配専門の弁当屋は、店舗型に比べて初期費用を大幅に抑えることが可能です。
この形態では、お客様が来店するための客席や人通りの激しい立地が不要なため、比較的家賃のかかりにくいエリアにある厨房物件で開業できます。
そのため、物件取得費や内装工事費を削減できるのが魅力です。
主な初期費用は、厨房設備費、調理器具や容器などの消耗品費、デリバリープラットフォームへの初期登録料、広告宣伝費など。
開業資金の目安は、100万円から300万円程度と、他のスタイルに比べて低資金でスタートできるのも魅力と言えます。
ただ、集客をプラットフォームに依存する分、販売手数料が発生するので、運転資金の計画には要注意。
キッチンカーで開業する場合の初期費用
キッチンカーで弁当屋を開業する場合、初期費用の中で最も大きな割合を占めるのが車両関連の費用です。
車両を新車で購入して改造するか、中古のキッチンカーを購入するかで金額は変わりますが、目安としては250万円から500万円程度が必要となります。
車両費の他には、調理に必要な厨房設備(コンロ、シンク、冷蔵庫など)の設置費用、発電機やプロパンガスといったインフラ設備費、調理器具や容器の購入費、各種許可の申請費用がかかります。
店舗を構えるよりは総額を小さくできますが、車両への投資は避けられません。
また、出店場所の確保や天候による売上の変動など、特有のリスクも考慮した上で資金計画を立てることが重要です。
開業資金が足りない場合の資金調達方法

ここでは、開業資金が足りない場合の資金調達方法について見ていきましょう。
日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受ける
自己資金で開業費用を賄えない場合、金融機関からの融資が一般的な資金調達方法となります。
これから事業を始める個人事業主にとって、日本政策金融公庫は有力な選択肢の1つ。
日本政策金融公庫は、政府系の金融機関であり、民間銀行に比べて新規創業者への融資に積極的で、比較的低金利で借り入れができるという心強い味方。
「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」など、それぞれ融資制度が用意されていて安心です。
なお、融資を受けるには、事業の将来性や返済計画を具体的に示した事業計画書の提出が不可欠です。
審査には一定の時間がかかるため、開業準備の早い段階から相談を開始し、計画的に手続きを進めることが求められます。
国や自治体の補助金・助成金を活用する
融資と並行して検討したいのが、国や地方自治体が実施している補助金や助成金です。
上記のものは原則として返済が不要な資金であり、開業時の経済的な負担をかなり軽減してくれます。
代表的なものに、小規模事業者の販路開拓などを支援する「小規模事業者持続化補助金」や、各自治体が独自に設けている創業者向けの支援制度などがあります。
ただ、当制度は対象となる事業内容や経費、申請期間まで細かく定められているので、誰でも利用できるわけではありません。
また、大半は後払い方式で、一旦は自己資金で支払う必要がある点にも注意が必要です。
常に最新の情報をチェックし、自身の事業計画に合致するものがあれば、積極的に申請を検討することをおすすめします。
個人で弁当屋を開業するまでの7つのステップ

次に、個人で弁当屋を開業するまでの7つのステップについて見ていきましょう。
STEP1. お店のコンセプトとターゲット顧客を決める
弁当屋開業の最初のステップは「誰に、何を、どのように提供するのか」というお店のコンセプトを明確にすることです。
例えば「健康志向で忙しい20代・30代の女性オフィスワーカー向けに、国産の有機野菜をふんだんに駆使した彩り豊かな日替わり弁当を提供する」といったように、ターゲット顧客と提供価値を具体的に設定します。
コンセプトが明確になることで、メニューの方向性、価格帯、店舗の雰囲気、販売戦略など、その後のあらゆる意思決定に一貫性が生まれます。
競合店との差別化を図り、お客様に「お店を選ぶ理由」を提示するためにも、この土台作りは極めて重要です。
ここで決めたコンセプトが、その後のお店の根幹となるでしょう。
STEP2. 具体的な数値を盛り込んだ事業計画書を作成する
コンセプトが固まったら、実現への具体的な設計図である事業計画書を作成します。
事業計画書には、店舗のコンセプト、ターゲット顧客、市場分析、競合分析、提供するメニュー、販売戦略をまとめます。
特に重要なのが、具体的な数値を盛り込んだ収支計画です。
開業に必要な初期投資(物件取得費、設備費など)と、月々の運営費(家賃、人件費、原材料費、水道光熱費など)を詳細に算出し、売上予測を立てて、どのくらいの期間で投資を回収できるのか、安定した利益を生み出せるのかをシミュレーションするのです。
なお、事業計画書は、自身の事業を客観的に見つめ直す機会となるだけでなく、後述する資金調達の際に金融機関へ提出する必須書類でもあるからこそ、入念な作成が求められるのではないでしょうか。
STEP3. 開業資金の調達方法を検討・実行する
事業計画書で算出した必要な開業資金を基に、具体的な資金調達計画を立てて実行に移します。
まずは自己資金でどの程度賄えるかを確認し、不足分をどのように調達するかを決定します。
主な調達方法には、親族からの借入れ、日本政策金融公庫などの金融機関からの融資、国や自治体の補助金・助成金が一般的です。
実際に融資を申請する場合は、作成した事業計画書を持参し、金融機関の担当者と面談を行ってください。
なお、補助金・助成金には公募期間が定められているため、事前に情報を収集し、タイミングを逃さずに申請手続きを進めましょう。
資金調達には時間がかかることもあるので、物件探しやメニュー開発など、他の準備と並行して早めに着手することが肝心です。
STEP4. メニュー開発と仕入れ先の選定を行う
事業の核となるメニュー開発と、品質を支える仕入れ先の選定も忘れてはいけません。
STEP1で定めたコンセプトとターゲット顧客に基づき、看板メニューや定番メニュー、日替わり・季節限定メニューを考案します。
中でも、メニューごとに調理オペレーションを考慮しながらレシピを作り、原価計算を精密に行っておくと安心です。
具体的には、原価率を踏まえた上で、顧客が納得し、かつ十分な利益を確保できる販売価格を設定してください。
同時に、使用する食材の仕入れ先も選定しておきましょう。
この段階では、価格・納品の安定性・品質・ロット数などを比較検討し、複数の業者から見積もりを取るのが一般的です。
それぞれ信頼できる仕入れ先との良好な関係を築くことは、将来的に安定した質の弁当を提供するための助けとなります。
STEP5. 店舗物件の契約やキッチンカーの準備を進める
店舗型で開業する場合は、コンセプトやターゲット層に合った立地で物件を探し、賃貸借契約を結びましょう。
物件の形状や面積、インフラ設備を確認し、必要に応じて内装・外装工事や厨房設備の搬入を行います。
初期費用を抑えたい場合は、厨房設備が残っている居抜き物件を探すのも有効な手段です。
宅配専門であれば、調理に特化した厨房スペースを確保するのがセオリー。
キッチンカーの場合は、車両の購入またはリース契約を進め、保健所の営業許可基準を満たすように給排水タンクや換気扇などの設備を整える改造を行います。
いずれのスタイルでも、事業計画に沿った予算内で準備を進めることが重要です。
STEP6. 必要な資格の取得と許可申請を済ませる
弁当屋を合法的に営業するには、法的な手続きを完了させる必要があります。
まず、店舗に1名必須となる「食品衛生責任者」の資格を取得します。
調理師免許を持っていない場合は、地域の保健所が実施する養成講習会を受講すると良いです。
また、店舗の工事や設備の設置が完了するタイミングを見計らって、管轄の保健所に「飲食店営業許可」を申請することも忘れずに。
申請後、保健所の担当者による施設の実地検査が行われ、基準を満たしていることが確認されると許可証が交付されるのが一般的です。
なお、許可がなければ営業はできません。
キッチンカーの場合は、営業を予定している地域を管轄するすべての保健所で許可を取得する必要がある他、公道で販売する際には警察署への「道路使用許可」の申請も忘れずに行わなければなりません。
STEP7. SNSやチラシでオープンに向けた集客活動を行う
店舗のオープン日が決まったら、開業の前から集客活動を開始します。
オープン当日にスムーズなスタートを切るためには、事前に地域の人々にお店の存在を知ってもらうことが重要です。
InstagramやX(旧Twitter)などのSNSアカウントを開設し、お店のコンセプトやこだわりのメニュー、開店準備の様子などを発信し、見込み客の期待感を煽るのが定石。
店舗周辺の住民やオフィスワーカーに向けては、オープン日や特典を記載したチラシのポスティングも効果的です。
また、友人や知人を招いたプレオープンを実施し、オペレーションの確認を行うと同時に、口コミやレビューでの宣伝を促すことも有効な戦略となります。
まずはオープン直後の売上を確保し、後の販売活動を軌道に乗せる意味で、集客活動を徹底してください。
個人経営の弁当屋で成功するための4つのポイント

最後に、個人経営の弁当屋で成功するための4つのポイントについて見ていきましょう。
他店にはない看板メニューで差別化を図る
数多くの弁当屋やコンビニエンスストアが競合となる中で、お客様に選んでもらうためには「あのお店の、あの弁当が食べたい」と思わせるような魅力が必要です。
その核となるのが、他店にはないオリジナリティあふれる看板メニューです。
例えば、特定の産地にこだわった希少な食材を使ったり、手間ひまかけた独自の調理法を編み出したり、圧倒的なボリュームや栄養バランスを徹底的に追求するなど、明確な特徴を持たせることが重要となります。
この看板メニューがお店の「顔」となり、SNSでの拡散を促す強力な集客ツールとなるでしょう。
一つのメニューがお店全体のブランドイメージを確立し、リピーターを生み出すきっかけになることもあるので、勝負メニューをいくつか生み出しておくのがGOOD。
出店エリアの客層やニーズを徹底的に調査する
魅力的な弁当を作っても、地域のニーズと合っていなければ売上には繋がりません。
ゆえに、出店を計画しているエリアについては、徹底的な事前調査が必要不可欠です。
地域にはどのような人々が住み、働いているのか(年齢層、性別、家族構成、所得水準など)を把握します。
例えば、オフィス街であれば平日のランチ需要があり、単身者向けの手頃な価格の弁当が求められるかもしれません。
対して、住宅街であれば家族向けの夕食のおかずや週末に楽しめる豪華な弁当のニーズがあるはず。
周辺にある競合店のメニュー内容、価格帯、営業時間などを分析し、自店がどのような立ち位置で勝負するのかを明確にすることも、重要な戦略となるのではないでしょうか。
ターゲットに合わせた適切な価格設定を心掛ける
価格設定は、お店の利益を直接左右すると同時に、お客様の購買意欲にも影響を与える要素です。
価格を決める際には、まず原材料費や人件費、家賃などのコストを正確に計算し、必要な利益を確保できるラインを見極める必要があります。
ただ、単なるコストの積み上げだけでは不十分です。
設定したターゲット顧客が、その価格に対して「価値がある」と感じてくれるかどうかが重要になります。
周辺の競合店の価格帯をリサーチし、自店の弁当の品質やボリューム、独自性などを考慮して、競争力のある価格を設定しなければなりません。
安すぎれば利益が出ず、高すぎれば敬遠されるのが世の常。
適切な価格設定は、安定した売上を確保し、事業を継続させるための生命線です。
ゆえに、適正価格を見極めることが求められます。
SNSやWebサイトを活用して効果的に宣伝する
現代のビジネスにおいて、オンラインでの情報発信は絶対に欠かせない集客手段です。
個人経営の店舗にとって、低コストで始められるSNSやWebサイトは強力な武器となります。
Instagramに食欲をそそる彩り豊かな弁当の写真を投稿したり、X(旧Twitter)で日替わりメニューやお得なキャンペーン情報をリアルタイムで告知したりすることで、顧客との継続的な接点を持つことが可能です。
また、Googleビジネスプロフィールに店舗情報を登録すれば、地図検索でお店が表示されやすくなり、近隣の潜在顧客にもアピールできます。
上記のツールを地道に活用し、お店のファンを獲得していくことが評判の拡大に繋がり、リピート購入を促してくれます。
最終的に安定した売上を築くことにも繋がるはずです。
まとめ

個人経営で弁当屋を開業することは、店舗型、宅配専門、キッチンカーといった多様なスタイルから自分に合った方法を選べる、将来性のある事業です。
ただ、うまく経営するためには、この記事で解説したような入念な準備が欠かせません。
まずは食品衛生責任者や飲食店営業許可といった必須の資格・許可を取得し、事業計画に基づいた堅実な資金計画を立てることが土台となります。
開業後も他店との差別化を図る看板メニューの開発、地域のニーズを捉えた価格設定、SNSを活用した効果的な宣伝活動を継続的に行うことが、厳しい競争の中で生き残り、地域に愛される弁当屋へと成長するための鍵となります。
それらのステップとポイントを踏まえ、計画的に準備を進めれば、弁当屋で生計を立てることも夢ではないです。
