バーの開業資金はいくら?未経験向けに内訳や安く抑えるコツを解説

バーの開業は多くの人にとって魅力的な夢ですが、その実現には具体的な資金計画が不可欠です。

開業に必要な資金は、店舗の規模やコンセプトによって大きく変動するため、事前に相場や内訳を正確に把握しておく必要があります。

この記事では、バーの開業に必要な資金の目安から、コストを抑える方法、自己資金が不足した場合の調達方法、さらには開業を成功させるためのポイントまで、幅広く解説します。

バーの開業資金は総額500万~1,000万円が相場

バーを開業するために必要な資金は、店舗の立地や規模、コンセプトなどによって変動しますが、一般的には総額で500万円から1,000万円程度が相場とされています。

この金額はあくまで平均的な目安であり、都心の一等地に大規模な店舗を構える場合はさらに高額になる一方、地方都市で小規模な店舗から始める場合はこれよりも安く抑えることが可能です。

開業資金は、主に物件の取得や内装工事に必要な「設備資金」と、開業後の経営を支えるための「運転資金」の2つに大別されます。

店舗の規模やコンセプトによって必要な資金は変動する

バーの開業資金は、どのようなスタイルの店にするかによって大きく変わります。

例えば、ウイスキーやカクテルを中心に提供するオーセンティックなショットバー、特定の国のワインを専門に扱うワインバー、昼はカフェとしても営業するカフェバーなど、コンセプトは多種多様です。

ワインバーであれば専用のセラー、カフェバーであれば高性能なコーヒーマシンが必要になるなど、コンセプトによって導入する設備が異なるため、初期投資額も変動します。

また、店舗の規模(坪数)や座席数も、内装工事費や什器の購入費用に直結するため、資金計画に大きな影響を与える要素です。

10坪以下の小規模バーなら300万円からの開業も可能

大規模な店舗ではなく、10坪以下の小規模なバーであれば、開業資金を300万円程度に抑えることも十分に可能です。

カウンター席のみで営業するスタイルにすれば、内装工事費やテーブル、椅子といった什器の購入費用を大幅に削減できます。

また、物件の家賃は初期費用だけでなく、月々の運転資金にも大きく影響するため、都心部から少し離れたエリアや、駅からの距離が多少ある場所を選ぶこともコスト削減に有効です。

小規模な店舗は、顧客との距離が近く、アットホームな雰囲気を作りやすいというメリットもあります。

【何に使う?】バー開業資金の詳しい内訳

バーの開業資金は、大きく分けて「設備資金」と「運転資金」の2種類で構成されています。

設備資金は店舗という「ハコ」を用意するための初期投資であり、運転資金は開業後に経営を継続していくための費用です。

資金計画を立てる際は、総額だけでなく、それぞれの内訳を正しく理解し、何にどれくらいの費用がかかるのかを具体的に把握することが重要です。

これにより、予期せぬ出費を防ぎ、スムーズな開業準備を進めることができます。

物件の契約や内外装工事で必要な「設備資金」

設備資金は、開業前に必要となる初期投資全般を指します。

主な内訳は、物件取得費(保証金、礼金、前家賃、仲介手数料など)、内外装工事費、厨房設備費(製氷機、冷蔵庫、シンクなど)、什器・備品購入費(カウンター、椅子、グラス、音響設備など)、広告宣伝費、そして雑費です。

特に、物件取得費と内外装工事費は設備資金の中でも大きな割合を占める傾向があります。

契約する物件が、内装や設備が何もないスケルトン物件か、前のテナントの設備が残っている居抜き物件かによって、工事費用は大きく変動します。

開業後の経営を支えるための「運転資金」

運転資金とは、開業直後から経営が軌道に乗るまでの間、店舗の運営を支えるために必要となるお金です。

たとえ売上がゼロでも発生する費用が含まれるため、余裕を持った準備が不可欠です。

具体的な内訳としては、毎月の家賃、水道光熱費、スタッフを雇用する場合の人件費、お酒や食材の仕入れ費用、販促活動にかかる広告宣伝費、通信費や消耗品費などの諸経費が挙げられます。

一般的には、少なくとも3ヶ月分、理想的には半年分の運転資金を開業前に確保しておくことが、安定した経営の基盤となります。

バーの開業資金を安く抑える3つのコツ

バーの開業には多額の資金が必要となりますが、いくつかの工夫を凝らすことで初期投資を大幅に抑えることが可能です。

限られた予算の中で理想の店舗を実現するためには、賢くコストを管理する視点が欠かせません。

具体的には、物件選び、設備の調達、内装工事の3つのポイントにおいてコスト削減を意識することが効果的です。

これらのコツを実践することで、開業後の資金繰りに余裕を持たせ、より安定した経営を目指すことができます。

【コツ1】初期費用が安い居抜き物件を契約する

開業資金を抑える最も効果的な方法の一つが、居抜き物件を活用することです。

居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装や厨房設備、空調などが残された状態の物件を指します。

一から内装工事を行うスケルトン物件と比較して、内外装工事費や設備購入費を大幅に削減できる点が最大のメリットです。

ただし、残された設備が劣化していないか、自分のお店のコンセプトに合っているかなどを慎重に見極める必要があります。

希望のレイアウトと大きく異なる場合は、かえって解体費用がかさむケースもあるため、契約前の入念な確認が重要です。

【コツ2】中古の厨房機器や備品を上手に活用する

製氷機やコールドテーブル、シンクといった厨房機器や、グラス、皿、テーブル、椅子などの備品は、すべて新品で揃えると相当な金額になります。

これらの費用を抑えるためには、中古品を積極的に活用するのが賢明です。

厨房機器を専門に扱う中古販売店やリースサービスを利用すれば、初期費用を大きく削減できます。

また、オンラインのマーケットプレイスやリサイクルショップでも、状態の良い備品を手頃な価格で見つけることが可能です。

ただし、中古品は品質や衛生状態を自身の目でしっかりと確認し、長期的な利用に耐えうるかを見極めてから購入することが大切です。

【コツ3】DIYを取り入れて内装工事費を節約する

内装工事費は、開業資金の中でも特に大きな割合を占める項目ですが、DIYを取り入れることで節約が可能です。

専門的な技術や資格が不要な範囲で、自分自身で作業を行うのです。

例えば、壁の塗装や棚の設置、カウンターの簡単な仕上げ、家具の組み立てなどを自分たちの手で行うことで、業者に依頼する費用を削減できます。

ただし、電気やガス、水道などの配線・配管工事は、専門的な資格を持つ業者に必ず依頼しなければなりません。

安全面を最優先し、無理のない範囲でDIYに挑戦することが重要です。

自己資金だけでは足りない!資金調達の方法を解説

バーの開業に向けて入念な資金計画を立てても、自己資金だけでは必要な金額に届かないケースは少なくありません。

しかし、そこで夢を諦める必要はなく、不足分を補うための様々な資金調達の方法が存在します。

公的な金融機関からお金を借りる方法や、国や自治体の制度を活用する方法など、選択肢は多岐にわたります。

それぞれの特徴や条件を理解し、自身の状況に最も適した手段を選択することで、開業への道を着実に進めることが可能になります。

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を活用する

これから事業を始める創業者にとって、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は非常に心強い選択肢です。

この制度は、新たに事業を始める人や事業開始後間もない人を対象としており、原則として無担保・無保証人で融資を受けられる点が大きな特徴です。

民間の金融機関と比較して金利が低めに設定されている傾向があり、返済期間も長期で設定できるため、創業期の負担を軽減できます。

融資を受けるためには、事業の将来性や返済能力を具体的に示す、説得力のある事業計画書を作成し、審査を通過する必要があります。

返済不要!国や自治体の補助金・助成金を申請する

国や地方自治体が提供している補助金や助成金は、原則として返済が不要なため、資金調達の手段として非常に魅力的です。

これらの制度は、創業促進や地域経済の活性化などを目的としており、事業計画の要件を満たせば開業資金の一部を補助してもらえます。

例えば、「小規模事業者持続化補助金」や、各自治体が独自に設けている創業支援補助金などがあります。

ただし、それぞれ募集期間や対象となる経費、申請条件が厳密に定められているため、自治体のホームページや商工会議所などで常に最新情報を収集し、タイミングを逃さずに申請することが重要です。

親族や知人から支援してもらう(親族内借入)

金融機関からの融資や公的制度の利用が難しい場合、両親や親族、親しい知人から資金を借りるという方法も考えられます。

この方法は、比較的柔軟な条件で資金を調達できる可能性がある点がメリットです。

しかし、金銭の貸し借りは、たとえ親しい間柄であっても人間関係のトラブルに発展するリスクを伴います。

そうした事態を避けるためにも、必ず借用書を作成し、借入額、返済期間、利率などの条件を明確に書面で残しておくべきです。

口約束で済ませず、誠実な対応を徹底することが、信頼関係を維持する上で不可欠です。

資金以外も重要!バー開業に必要な資格と行政手続き

バーを開業するためには、資金の準備だけでなく、法律に基づいた資格の取得や行政への手続きが不可欠です。

これらの準備を怠ると、最悪の場合、営業許可が下りずに開業ができない、あるいは営業開始後に指導を受け、営業停止となる可能性もあります。

開業までのスケジュールにこれらの手続きを組み込み、計画的に準備を進めることが、スムーズなスタートを切るための鍵となります。

安心して店舗運営に集中するためにも、必要な資格と手続きについて正確に理解しておきましょう。

開業前に取得が必須な2つの資格

バーを開業するにあたり、原則として2つの資格が必要です。

一つは「食品衛生責任者」で、飲食店の営業許可を受けるために、各店舗に必ず1名以上配置することが法律で義務付けられています。

これは、地域の食品衛生協会が実施する講習会を受講することで取得できます。

もう一つは「防火管理者」で、店舗の収容人数が30人以上の場合に必要となる資格です。

火災による被害を防止するための消防計画作成などを行います。

これも、所轄の消防署が実施する講習を受けることで取得可能です。

いずれも早めに日程を確認し、受講を済ませておきましょう。

営業スタイルによって必要な届出・許可

バーの営業には、保健所からの「飲食店営業許可」が必須です。

店舗の施設が基準を満たしているかどうかの検査を受け、許可を得る必要があります。

さらに、深夜0時を過ぎて酒類を提供する場合は、管轄の警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出しなければなりません。

また、店内にダーツやカラオケ、シミュレーションゴルフなどの遊興設備を設置し、客に利用させる営業形態をとる場合は、「特定遊興飲食店営業許可」が必要になることがあります。

自身の営業スタイルに合わせて、必要な手続きを漏れなく行いましょう。

失敗しない!バー開業を成功に導くためのポイント

開業資金を確保し、必要な手続きを完了させることは、あくまでスタートラインに立つための準備に過ぎません。

開業後に多くの顧客から愛され、長期的に経営を安定させるためには、戦略的な視点を持つことが極めて重要です。

特に、競合がひしめく飲食業界で生き残るためには、他店との差別化を図り、顧客の心を掴むための工夫が求められます。

ここでは、バー開業を成功に導くために不可欠な3つのポイントを解説します。

競合と差別化できる明確なコンセプトを設計する

成功するバー経営の根幹をなすのが、明確なコンセプトです。

「誰に(ターゲット顧客)、何を(提供価値)、どのように(店の雰囲気やスタイル)」提供するのかを具体的に定めることで、他店との差別化が可能になります。

例えば、「希少な国産ウイスキーに特化した隠れ家バー」「旬のフルーツを使ったカクテルが自慢のオーセンティックバー」など、コンセプトが明確であれば、それが店の強力な個性となります。

この軸がしっかりしていれば、内装デザインやメニュー構成、価格設定、接客スタイルまで一貫性が生まれ、ターゲット顧客に響く店づくりができます。

コンセプトに合った最適な物件・立地をリサーチする

どれだけ素晴らしいコンセプトを設計しても、それを実現する場所に恵まれなければ成功は難しくなります。

物件や立地の選定は、バー経営の成否を左右する非常に重要な要素です。

まずは、設定したコンセプトのターゲット顧客がどのエリアに多く集まるのかを徹底的にリサーチします。

ビジネスパーソン向けならオフィス街、若者向けなら繁華街や大学の近くなどが候補となるでしょう。

その上で、実際に現地へ足を運び、昼夜の人通りや周辺の競合店の状況、駅からのアクセスなどを自分の目で確認し、コンセプトの実現に最も適した物件を慎重に選定する必要があります。

リピーターや常連客を増やすための接客を徹底する

バーの魅力は、提供されるお酒や料理の質だけではありません。

バーテンダーとの心地よい会話や、居心地の良い空間で過ごす時間そのものに価値を感じる顧客も多くいます。

新規顧客をリピーターへ、そして常連客へと育てていくためには、質の高い接客が不可欠です。

顧客一人ひとりの好みやその日の気分を察した細やかな気配り、付かず離れずの絶妙な距離感を保ったコミュニケーションを心がけることで、顧客満足度は飛躍的に高まります。

常連客は安定した売上の基盤となるだけでなく、新たな顧客を連れてきてくれる貴重な存在です。

バーの開業資金に関するよくある質問

バーの開業を検討する中で、資金面をはじめとして様々な疑問や不安が生じることは自然なことです。

ここでは、開業希望者から特によく寄せられる質問をピックアップし、それぞれ簡潔に回答します。

具体的な疑問を解消することで、開業準備をよりスムーズに進めるための参考にしてください。

バーテンダー未経験でも開業は可能ですか?

はい、可能です。

ただし、成功のためにはお酒に関する深い知識、カクテル作りの技術、質の高い接客スキル、そして経営ノウハウの習得が不可欠です。

バーテンダースクールに通う、他のバーで修行を積む、あるいは経験豊富なバーテンダーを雇用するなど、自身の経験不足を補うための具体的な計画と努力が求められます。

バー経営の利益率はどれくらいですか?

一般的に、バー経営における営業利益率は売上高の10%~15%程度が目安とされています。

ただし、この数値は家賃や人件費、仕入れ原価といった経費の割合によって大きく変動します。

利益率を高めるには、ドリンクの原価管理を徹底する、フードメニューで付加価値をつける、客単価を向上させるなどの経営努力が必要です。

開業準備はいつから始めるべきですか?

理想としては、開業予定日の1年前から半年前には準備を開始することをおすすめします。

コンセプト設計や詳細な事業計画の策定に始まり、資金調達、物件探し、内装工事、資格取得、各種届出など、開業までには多くのステップがあります。

余裕を持ったスケジュールを組むことで、一つ一つのタスクに丁寧に取り組むことができ、スムーズな開業につながります。

まとめ

バーの開業資金は、一般的に500万~1,000万円が相場ですが、店舗の規模やコンセプト、物件の選び方によって大きく変動します。

居抜き物件の活用や中古備品の導入、DIYなどを取り入れることで、初期費用を300万円程度に抑えることも可能です。

自己資金で不足する分は、日本政策金融公庫の新創業融資制度や、国・自治体の補助金・助成金といった資金調達の方法を検討することが有効です。

しかし、成功のためには資金計画だけでなく、競合と差別化できる明確なコンセプトの設計や、それに基づいた立地選定、そして顧客を魅了する接客が不可欠であることを理解しておく必要があります。

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#カケハシ 編集部

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