2025年10月のメルカリ利用規約改定は、多くの出品者に影響を及ぼす見込みです。
今回の改定では、事業性のある販売は「メルカリShops」へという方針が明確になり、加えて悪質な出品・転売への対処が強化されます。
ハンドメイド作品を継続販売している作家にとっても無関係ではありません。
自身の販売活動が「事業者」と見なされるか、匿名での出品を続けられるかなど、不安を抱く方もいるでしょう。
本記事では、新しい利用規約のポイントと、ハンドメイド販売への具体的な影響を解説します。

INDEX

2025年10月からメルカリの利用規約が大きく変わる
メルカリの利用規約が、2025年10月22日に改定されます。
今回の改定で、事業者は個人向けメルカリの利用が原則不可となり、出品を続ける場合はメルカリShopsの利用が求められます。
個人の不用品売買を軸とする場と、事業としての販売の場を分ける方向性が公式に示されました。
この改定は、消費者庁が示した「オンラインモール等における『転売』に関する考え方」を考慮したものであり、プラットフォームとしての社会的責任を果たすことを目指しています。
主な変更点としては、事業者による個人向けメルカリの利用が制限されることが挙げられます。
これにより、ユーザーはより安心して取引ができる環境が整備される一方で、継続的に販売活動を行うユーザーは、自身の出品スタイルが新しい利用規約に適合しているかを確認する必要があります。

規約改定で悪質な転売行為の出品が禁止に
新しい規約では、これまでもマナー違反とされてきた悪質な転売行為が明確に禁止されます。
具体的には、入手困難な限定品(例えば「スイッチ2」のような新型ゲーム機)を買い占め、不当に価格を吊り上げて出品する行為が規制の対象です。
また、医薬品や安全性が保証されない米などの食品、さらにはオークション形式での出品も禁止項目として明記されました。
これにより、いわゆる「せどり」を目的とした利用が困難になり、健全なマーケットプレイスの維持が目指されます。
利用制限など厳しいペナルティが科される可能性も
新規約に違反した場合、出品者は厳しいペナルティを科される可能性があります。
規約違反と判断された出品は、運営によって削除されるだけでなく、悪質なケースではアカウントの一時的または永久的な利用制限措置が取られることも考えられます。
繰り返し違反を行うと、アカウント停止に至るリスクが高まるでしょう。
こうした措置は、購入者との無用なトラブルを未然に防ぎ、プラットフォーム全体の安全性を確保するために不可欠です。
出品者は、意図せず規約に抵触することがないよう、改定内容を十分に理解し、自身の出品活動を見直すことが求められます。

ハンドメイド作家が「事業者」と見なされるケースとは
今回の規約改定でハンドメイド作家が最も注意すべき点は、「事業者」と見なされる基準です。
副業として作品を販売している場合でも、反復継続して利益を得る目的で出品していると判断されれば、「事業者」に該当する可能性があります。
具体的には、同じ商品を複数在庫として出品したり、継続的に多くの商品を販売したりするケースが考えられます。
個人事業主として開業届を出していなくても、実態として事業性があるとメルカリに判断された場合、個人向けアカウントでの販売が制限される対象となり得ます。
事業者は個人向けメルカリでの販売が禁止される
改定後の規約では、「事業者」とメルカリに判断されたユーザーは、個人向けメルカリでの販売活動が原則として禁止されます。
これは法人格を持つ企業だけでなく、個人事業主として活動しているハンドメイド作家も対象に含まれる可能性があります。
メルカリは、個人の不用品売買を主目的とするプラットフォームとしての立ち位置を明確にし、事業性のある販売活動は「メルカリShops」で行うよう促す方針です。
もし「事業者」であるにもかかわらず個人向けメルカリで販売を続けた場合、規約違反としてペナルティの対象となるため、自身の活動がどちらに該当するのかを慎重に判断する必要があります。
実質的に匿名でのハンドメイド販売が困難に
事業者として販売活動を行う場合、特定商取引法に基づき、氏名、住所、電話番号などの事業者情報を表示する義務が生じます。
そのため、「事業者」と見なされるハンドメイド作家は、たとえ匿名配送サービスを利用していても、販売ページ上でこれらの個人情報を開示しなければなりません。
メルカリでは本人確認の仕組みが強化されており、登録情報と出品活動の実態が照合されることが予想されます。
これにより、これまで匿名性を保ちながら活動してきた作家にとっては、実質的に匿名での販売が困難になるでしょう。
プライバシーの観点から個人情報の開示に抵抗がある場合は、今後の販売方法を再検討する必要があります。

規約改定で変わるメルカリとメルカリShopsの使い分け
今回の規約改定により、個人向けメルカリと事業向けのメルカリShopsの棲み分けがより明確になります。
ハンドメイド作家は、自身の活動規模や目的に応じて、どちらのプラットフォームを利用すべきか判断する必要が出てきました。
同じアプリ内で利用できますが、検索結果の表示やマイページの機能などが異なるため、それぞれの特性を理解することが重要です。
今後は、個人の不用品はメルカリ、事業としての作品販売はメルカリShopsという使い分けが基本となるでしょう。
個人向けメルカリは非事業性の取引が基本に
今後の個人向けメルカリは、家庭の不用品を譲り合うような、非事業性の取引が中心の場となります。
例えば、購入者との細やかなコメントのやり取りや、手元にある箱を再利用した梱包、常温での発送などが一般的な取引形態となるでしょう。
一方で、事業者が提供するような手厚い返品対応や、食品販売におけるクール便の利用といった専門的なサービスを伴う取引は想定されていません。
あくまで個人間の気軽な取引の場として位置づけられるため、事業として商品を販売するには機能面で不十分になる可能性があります。
事業者はメルカリShopsでの出品が必須となる
反復継続してハンドメイド作品を販売するなど、事業性があると判断される活動は、メルカリShopsでの出品が必須となります。
メルカリShopsは、事業者が販売活動を行いやすいように設計されており、在庫管理機能やSNS連携など、個人向けメルカリにはない機能が利用可能です。
販売手数料は個人向けメルカリと同様に10%ですが、売上金の振込タイミングが月に一度など、いくつか違いがあります。
事業としてメルカリで販売を続けるためには、メルカリShopsの仕組みを理解し、そちらへ移行することが求められます。

個人情報を開示せずに販売を続けたい場合の対処法
事業者としての活動に該当する可能性があるものの、個人情報の開示は避けたいと考えるハンドメイド作家もいるでしょう。
その場合、いくつかの対処法が考えられます。
例えば、販売プラットフォームを見直すという選択肢があります。
支払い方法としてクレジットカード決済を導入している多くのプラットフォームでは、本人確認が必須ですが、サイトによっては運営が介在することで出品者の情報を非公開にできる場合もあります。
カード情報の管理などセキュリティ面も考慮しつつ、自身の希望する販売スタイルに合った方法を検討する必要があります。
対処法①:メルカリShopsへの出店準備を進める
個人情報開示の懸念はあるものの、メルカリの集客力を活かし続けたい場合、メルカリShopsへの出店準備を進めるのが現実的な選択肢です。
メルカリShopsは開設費用が0円で、初期投資を抑えて始められるメリットがあります。
また、フォロワーに対して割引クーポンを発行したり、セール時に割引価格を設定したりと、販売促進に役立つ機能が充実しています。
特定商取引法に基づく表示は必須となりますが、事業として本格的に活動を拡大していく上では、これらの販促機能を活用できるメルカリShopsは有力なプラットフォームです。
対処法②:他のハンドメイド販売サイトの利用を検討する
メルカリの規約改定を機に、他のハンドメイド販売専門サイトの利用を検討するのも一つの方法です。ハンドメイド作品に特化したプラットフォームは、作品の価値を理解してくれる顧客層が集まりやすいという利点があります。
サイトによっては、運営会社が販売者情報を一部代行表示するサービスを提供している場合があります。
ただし、特定商取引法により、ネットショップで商品を販売する際には事業者名(氏名)と所在地を明記することが義務付けられています。
そのため、完全に匿名で販売できるサービスは基本的に存在しません。
一部のサイトでは、購入者に発送元住所が知られないようにする匿名配送のサービスを提供している場合や、申請により所在地・連絡先の表示を一部省略できる場合がありますが、販売者情報そのものを非公開にするものではありません。
販売者情報を公開せずに販売したい場合は、バーチャルオフィスなどの利用が検討されます。
各サイトの手数料や機能、客層などを比較し、自身の作風や販売スタイルに最も適した場所を見つけることが重要になります。

まとめ
メルカリの2025年10月の規約改定は、悪質な転売行為の規制を主な目的としていますが、ハンドメイド作家の活動にも大きな影響を及ぼします。
自身の販売が「事業」と見なされるか否かが重要な分岐点となり、該当する場合はメルカリShopsへの移行と事業者情報の開示が求められます。
匿名での販売継続を希望する場合は、他のハンドメイド販売サイトへの移転も視野に入れる必要があるでしょう。
改定内容を正確に理解し、自身の活動方針を早めに決定することが大切です。
今後運営から送られてくる通知を注視し、購入者からの評価も維持できるよう、適切な対応を心がけましょう。
