フリーランス看護師とは?働き方や年収事情、必要資格などをご紹介します。

看護師の経験と資格を活かし、組織に縛られない新しい働き方を模索している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

最近ではフリーランスの看護師という働き方も浸透しつつあり、時間や場所にとらわれず、自分の理想とするキャリアを築こうとしている人も珍しくないです。

ただ、具体的に看護師がフリーランスになる方法がわからない人もいるでしょう!

そこで、この記事では、フリーランス看護師の概要、仕事内容、メリット、デメリット、年収、フリーランス看護師になるには、必要なスキルや資質、税金と保険について詳しく解説します。

フリーランス看護師の概要

まずは、フリーランス看護師の概要について見ていきましょう。

フリーランス看護師とはどのような働き方か

フリーランスの看護師とは、特定の医療機関や企業などに雇用されるのではなく、個人として業務委託契約を結び、仕事を行う看護師を言います。

組織に属さない働き方であるがゆえに、自身の裁量で働く時間や場所、仕事内容を選択できるのが特徴です。

結果的に、自由な働き方を実現しやすく、キャリアプランやライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能となるでしょう。

特定の組織に縛られずに個人で仕事を受注する働き方全般を言うフリーランスは、まさに自由に働きたい人にとって理想の働き方と言えるのではないでしょうか。

現に、フリーランスで働いている筆者も自由に働かせてもらっています。

今後、フリーランスという働き方はよりメジャーになるはずです。

個人事業主としての働き方

フリーランス看護師は、税法上の区分としては「個人事業主」となります。

個人事業主として働く場合、組織に雇用されているわけではないため、労働基準法などの労働法規の直接的な適用は受けません。

自身の事業として看護に関する業務を請け負い、それに対する報酬を得る形になります。

このため、自らの責任において業務を遂行することが必要です。

また、収入や経費の管理、税金の手続きなども自身で行うことが必要です。

なお、どれくらい稼ぐ予定なのかによっても変わるものの、本格的にフリーランスとして活動する場合は税務署に開業届を提出しなければいけません。

開業届は税務署に書類を提出しなければなりませんが、税務上の優遇を受けられるので、提出しておいて損はありません。

フリーランス看護師の仕事内容

次に、フリーランス看護師の仕事内容について見ていきましょう。

医療機関でのサポート業務

フリーランス看護師は、病院や診療所、介護施設などで一時的な人手不足が生じた場合に、ヘルプ要員として勤務するのが主な仕事内容です。

特定の常勤看護師が休暇を取得している期間や、離職者が発生して新しいスタッフが採用されるまでの間など、短期間の勤務ニーズへの対応が求められます。

これらの業務は、それまでの臨床経験を活かしやすく、即戦力として活躍できます。

医療機関によっては、ヘルプ要員に特化した募集枠を設けている場合もあるからこそ、活躍の場は比較的幅広いです。

個人宅への訪問看護

個人宅を訪れる訪問看護も、フリーランス看護師が活躍できる分野の一つです。

訪問看護ステーションに登録し、業務委託契約に基づいて利用者の自宅を訪問するのが主な仕事内容となります。

現代日本は高齢化が進み、在宅での医療ニーズによる訪問看護が求められています。

現に、在宅で療養される方々に対して個別のケアを提供することで地域医療を支える一翼を担うことが、フリーランス看護師に求められているわけです。

単発で働く機会

フリーランス看護師は、単発の仕事にも対応できます。

例えば、学校や企業の健康診断、各種イベント会場での救護待機、ツアー旅行への同行(ツアーナース)などがあります。

これらの仕事は、事前に日程が決まっていることが多く、自分のスケジュールに合わせて柔軟に働ける場合も少なくありません。

多種多様な場所で色んな経験を積むことができるなど、自身のスキルアップにも繋がる可能性を考えると、慣れるまでは単発で仕事を受けてみても良いかもしれません。

研修会や学会での活動

看護に関する研修会や学会で、運営スタッフや講師として活動することもフリーランス看護師の仕事内容に含まれます。

仕事内容は、看護師としての経験や資格を活かし、他の看護師や医療従事者に向けて情報を提供したり、イベントの円滑な進行をサポートしたりするのが主です。

とりわけ、特定の分野で認定資格や豊富な経験を持つ看護師は、講師としての需要も。

結果的に、医療関係者との新たな繋がりを築く機会も得られ、より活躍する場を広げていくことも不可能ではありません。

その他の働き方

上記の他にも、フリーランス看護師には色んな働き方があります。

例えば、美容クリニックでの施術補助、企業の健康相談窓口での対応、医療系記事のライターや監修者、さらには自身の看護経験を活かした起業などです。

看護師のスキルは医療機関だけでなく他の分野でも求められており、フリーランスという立場を活かせば、より自身の興味や専門性に合わせた場を選べます。

もし自分に向いている仕事がわからない場合は、単発で色んな仕事をやってみると良いです。

フリーランス看護師として働くメリット

ここからは、フリーランス看護師として働くメリットについて見ていきましょう。

柔軟な働き方ができる

フリーランス看護師は、働く時間や場所を自分の裁量で決められます。

常勤勤務のように定められた勤務時間に縛られることなく、自身のキャリアプランやライフスタイル、都合に合わせて働く日時を選択可能です。

具体的には、子育てや介護との両立、趣味や自己研鑽の時間の確保など、ワークライフバランスを重視した働き方を実現できるでしょう。

複数の勤務先を組み合わせれば、色んな経験を積むこともできるなど、よりスキルアップしたい人にとってもフリーランスという働き方は良いのではないでしょうか。

人間関係のストレスを軽減できる

フリーランス看護師は特定の組織に常勤として所属しないため、職場の人間関係におけるストレスを軽減しやすいです。

契約ごとに働く場所が変わるので、特定の人間関係に煩わされることがありません。

業務に集中しやすく、精神的にも肉体的にも負担が軽減されることで、看護の仕事そのものによりやりがいを感じられる場合もあります。

収入アップの可能性がある

フリーランス看護師は、自身の働き方次第で収入アップを目指せます。

時給の高い単発の仕事を選んだり、専門性の高い分野での業務を請け負ったりすることで、効率的に収入を得ることが可能です。

例えば、夜勤は日勤に比べて時給が高く設定されているため、稼ぎやすいです。

また、複数の仕事を組み合わせることで、収入源を分散させ、全体の年収を上げることも期待できます。

自身の頑張りが直接収入に反映される……看護師という仕事が好きだけど労働環境に納得できない人にとっては、計り知れないモチベーションになると言っても過言ではありません。

フリーランス看護師として働くデメリット

ここでは、フリーランス看護師として働くデメリットについて見ていきましょう。

収入が安定しない可能性がある

フリーランス看護師は、収入が不安定になりやすいです。

稼働状況によって収入が変動するため、毎月一定の収入が得られる保証はありません。

仕事が多い月は高収入を得られますが、仕事が少ない月は定収入と不安定になります。

状況によっては、まったく収入のない期間が発生する可能性も否めません。

体調を崩したり怪我をしたりして働けなくなった場合も、収入はゼロに……。

ゆえに、計画的な貯蓄や複数の収入源を確保するなどの予防対策が欠かせません。

社会的な信用や保障がない

フリーランスは組織に雇用されていないため、社会的な信用を得にくい場合があります。

例えば、クレジットカードの作成やローンの契約、賃貸物件の契約などが、会社員に比べて難しくなる可能性があるわけです。

また、厚生年金や健康保険、雇用保険といった社会保障制度についても、会社員とは加入方法や保障内容が異なります。

国民健康保険や国民年金への加入が必要となり、傷病手当金や失業給付などの保障がないので、自身で民間の保険に加入するなど、万が一に備えた準備が必要です。

とりわけ、看護業務における医療事故などに備えるのに、看護職賠償責任保険への加入を検討しておいて損はありません。

自己管理が求められる

フリーランスとして働く場合、自己管理能力が求められます。

仕事のスケジュール管理、体調管理、モチベーションの維持など、すべてを自分自身で行う必要があるわけです。

働く時間や休日が自由である反面、自己規律がなければ生活リズムが乱れたり、働きすぎてしまったりする可能性も否めません。

また、孤独を感じる人も珍しくないでしょう。

ゆえに、定期的に外に出るなど自己管理が必須となるのではないでしょうか。

仕事獲得に向けた営業活動が必要となる

フリーランス看護師は、営業活動を行う必要があります。

求人サイトやエージェントを利用するだけでなく、人脈を活かしたり、時には自らを売り込むためのアピールが必要不可欠です。

常に新しい仕事を探し、継続的に収入を得るためには、積極的に行動する姿勢も必須。

とりわけ、条件の良い案件には応募が集中するので、自身のスキルを効果的に伝える能力も必要となるかもしれません。

フリーランス看護師の年収

次に、フリーランス看護師の年収について見ていきましょう。

年収の実態

フリーランス看護師の年収は一概には言えませんが、常勤の看護師と同程度か、それ以上を目指すことが可能です。

実際は、働く量や引き受ける仕事の種類、単価によって年収が変わります。

例えば、高時給の単発の仕事を中心に請け負ったり、専門性の高い分野で活躍したりすることで、年収1,000万円以上を達成するケースもあるでしょう。

他方、仕事の状況によっては収入が不安定になりやすく、年収が常勤看護師を下回る可能性も決して珍しくはありません。

年収を上げるための方法

フリーランス看護師として年収を上げるためには、いくつかの方法があります。

  • 営業力や交渉力を磨く
  • 単価の高い仕事や専門性の高い仕事を引き受ける
  • 特定の分野に特化した認定看護師資格を取得する
  • 複数のクライアントと契約して収入源を保つ

あくまでも一般的な方法ではあるものの、上記の方法を試すことで年収をアップさせることは可能です。

ただ、基本的にフリーランス看護師は人による部分が大半で、誰かと年収を比べるのは不毛……むしろ、自分自身がいくら必要なのかを考えると良いでしょう。

そうすることで、より理想の生活が見えてくるのではないでしょうか。

フリーランス看護師になるには

次に、フリーランス看護師になるにはどうすべきかについて見ていきましょう。

フリーランスになるためのステップ

フリーランス看護師になるための最初のステップは、どのような働き方をしたいのか、自身の専門性や興味を明確にすることが重要です。

また、自分に合った仕事を見つけることも大切です。

なお、現在の職場を退職する場合は円満退職を心がけ、必要な手続きを行いましょう。

もし、フリーランスとして本格的に活動する場合は、税務署に開業届を提出し、個人事業主としての手続きを行うと良いのではないでしょうか。

すべての準備が整ったら、いよいよ仕事探しを始めます。

ただ、すぐに決まるとは限らないからこそ、前職を辞める前にある程度の貯金が必要です。

仕事を見つける方法

フリーランス看護師が仕事を見つける方法はいくつかあります。

  • 看護師専門の求人サイトや転職エージェントを利用する
    ⇒フリーランス向けの単発や短期の求人、業務委託の案件などが掲載されている
  • クラウドソーシングサイトや自身のSNS、ブログなどを活用する
    ⇒仕事の募集を探したり、自身のスキルや実績を発信したりする
  • 前職の職場や同僚との人脈を通じて仕事の紹介を受ける

上記のように複数の方法を組み合わせることで、より幅広い仕事を見つける機会が得られるはずです。

フリーランス看護師に必要なスキルや資質

次に、フリーランス看護師に必要なスキルや資質について見ていきましょう。

求められるスキル

フリーランス看護師には、まず看護師としてのスキルが不可欠です。

とりわけ、フリーランス看護師は即戦力としての力が期待されるため、幅広い技術と知識、そして状況判断能力が求められます。

加えて、コミュニケーション能力も必要となるでしょう。

医療現場では職場で色んな人々と関わるので、円滑な人間関係を築き、良好なコミュニケーションをとる必要があります。

また、自身で仕事を見つけ、条件交渉を行うための営業力や交渉力、そして契約内容を理解する力も必要です。

フリーランスに向いている人の特徴

フリーランス看護師に向いているのは、自己管理能力を持っている人です。

また、自分でスケジュールや体調を管理し、主体的に行動できる力を持っていることの他、変化への適応力や柔軟性がある人も向いています。

働く場所や人間関係が常に変わるフリーランスは、臨機応変な対応が欠かせません。

もちろん、積極的に新しい技術や知識などのスキルを学び続ける向上心や、困難な状況でも諦めずに課題解決に取り組む粘り強さも忘れられません。

税金と保険について

最後に、税金と保険について見ていきましょう。

確定申告について

フリーランス看護師は個人事業主であるため、毎年確定申告を行う必要があります。

確定申告では、1月1日から12月31日までの1年間の所得とそれにかかる税金を計算し、税務署に申告・納税します。

所得とは、収入から業務に関連する経費を差し引いた金額のこと。

これらの所得を適切に計算し、事業でかかった費用を経費を計上することで、税負担を軽減していくことが求められます。

とりわけ、交通費、通信費、研修費用、書籍代などが経費として認められやすいです。

なお、確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告の方が控除額が大きいなどの利点があるので、状況に合わせて選ぶべきです。

もし手続きについてわからない場合は、税務署や税理士に相談するのもありです。

社会保険について

フリーランス看護師は、健康保険と年金について自身で手続きを行うことが必要です。

会社を退職してフリーランスになった場合、以前加入していた社会保険の任意継続、国民健康保険への加入、または家族の扶養に入るなどの選択肢があります。

年金についても、厚生年金から国民年金への切り替えが必要となるでしょう。

上記の手続きは、退職後速やかに行う必要がある他、業務中の事故などに備えられるよう、看護職賠償責任保険への加入も検討する必要があるのではないでしょうか。

まとめ

フリーランスの看護師という働き方は、従来の病院勤務とは異なり、自身の経験と資格を活かしながら、より自由で柔軟なキャリアを築ける可能性を秘めています。

フリーランスとは何か、フリーランスの看護師としてどのような仕事があり、どのようなメリットやデメリットがあるのかを理解することは、新たな一歩を踏み出す上で欠かせないものです。

まずは自分自身がどのように働きたいのかを考え、今後のキャリアプランやライフスタイルを思い描くところから始めてみてはいかがでしょうか。

きっとそれがより良い未来へと繋がっていくでしょう。

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#カケハシ 編集部

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