新NISAで損失が出た時にまず考えたいこと

2024年から華々しくスタートした新NISA制度ですが、期待を胸に投資を始めたものの、想定外の株価下落によって画面上の評価損、いわゆる含み損に頭を悩ませている方も少なくないでしょう。昨今の不安定な世界情勢や経済指標の変動を目の当たりにすると、このまま持ち続けても大丈夫だろうか、今のうちに損切りして傷口を広げない方がいいのではないか、という不安がよぎるのは投資家として極めて自然な反応です。

しかし、新NISAという制度の本来の目的は、数十年という長い年月をかけて資産を形成することにあります。結論から申し上げれば、基本的な運用スタイルにおいては短期的な値動きに一喜一憂して売却を急ぐ必要はありません。

とはいえ、どのような状況でも絶対に売ってはいけないというわけでもありません。自身の投資スタイルや対象としている商品の性質によっては、損切りが合理的な戦略となる場面も存在します。ここでは、損失が出た際の冷静な判断基準や、損切り以外の選択肢、そして将来的に大きな損失を抱えないための考え方を深掘りしていきます。

新NISAの基本戦略:長期・積立投資なら損切りは不要

新NISAの王道とされる運用は、長期的な視点でコツコツと資産を積み上げる長期・積立・分散投資です。この戦略を軸に据えている場合、なぜ一時的な下落局面でも損切りが不要とされるのでしょうか。その鍵を握るのが、ドルコスト平均法という投資手法です。

ドルコスト平均法とは、価格の変動に関わらず、常に一定の金額を定期的に投資し続ける方法を指します。この手法を継続することで、価格が高い時期には購入数量が少なくなり、逆に価格が安い時期には多くの数量を買い付けることができます。

平均購入単価を抑える時間分散の効果

この仕組みによって、長期的には1口あたりの平均購入単価が平準化される効果が期待できます。つまり、一時的な下落は決して悪いことではなく、むしろ将来の大きな利益のために安く多くの口数を仕入れられるチャンスと捉えることができるのです。

つみたて投資の本来の価値は、市場の荒波を予測することではなく、時間を味方につけてリスクを分散し、複利の力を最大化させることにあります。したがって、投資信託を中心とした積立投資を行っている場合は、含み損が出ていても慌てて売却せず、淡々と積み立てを継続することが、資産成長への最短ルートとなります。

例外あり!新NISAで損切りを検討すべきケースとは

長期保有が基本とはいえ、すべての投資判断において損切りを排除すべきではありません。特に新NISAの成長投資枠を利用している場合など、戦略によっては損切りが適切なリスク管理となるケースがあります。

例えば、配当金や短期的な値上がり益を狙って個別株に投資している場合です。個別株は投資信託に比べて値動きが激しく、特定の企業に依存するため、インデックス投資とは全く異なる判断が求められます。

短期的な値上がりを狙った個別株投資

成長投資枠を活用し、特定のニュースやイベントを期待して個別株を購入した際、最も重要なのは出口戦略です。購入前に、株価がここまで上がったら利益を確定させる、あるいは自分の想定が外れてここまで下がったら売却するというルールを明確にしておく必要があります。

もし株価が下落し、自分が描いていた成長シナリオが崩れてしまったのであれば、そのまま持ち続けることは投資ではなく、ただの祈りになってしまいます。想定外の下落に直面した際は、当初のルールに従って機械的に損切りを行い、残った資金を次のチャンスへ回すことが、大切な資産を守るための賢明な判断となります。

企業の将来性や業績に不安が生じた場合

長期保有を前提としていたとしても、投資先企業のファンダメンタルズ、つまり企業の基礎的な価値に重大な変化が生じた場合は例外です。

  • 主力事業の市場が急激に縮小し、回復の見込みが立たない
  • 大規模な不祥事の発覚により、ブランド価値が失墜した
  • 連続的な赤字計上により、財務基盤が著しく悪化した

このような状況では、株価が元の水準まで戻る根拠が希薄になります。価値が失われつつある資産を持ち続ける、いわゆる塩漬けの状態は、資金を拘束し、より良い投資機会を逃すという機会損失にも繋がります。企業の成長ストーリーが崩れたと確信したなら、勇気を持って損失を確定させ、より有望な投資先に乗り換えることも、ポートフォリオを健全に保つための重要なステップです。

自分で決める!損切りを実行するタイミングの判断基準

損切りを検討する際、最も難しいのがタイミングです。人間の心理には、得をする喜びよりも損をする痛みを強く感じる損失回避性という特性があり、冷静な判断を鈍らせます。だからこそ、感情を排除した客観的なルールをあらかじめ用意しておくことが不可欠です。

以下の表は、一般的な損切りの基準をまとめたものです。自分の性格や投資スタイルに合うものを組み合わせて活用してください。

判断基準具体的なルール例メリット
損失率購入価格から10%下落したら売却資金効率を一定に保ちやすく、計算が明快
損失額1銘柄につき3万円の損失で売却自身の家計へのダメージを直感的に把握できる
テクニカル移動平均線を下回る、支持線を割る相場のトレンド変化を客観的に捉えられる

損失率や損失額で機械的に決める

最もシンプルなのは、購入価格から〇%下がったら売るという損失率による管理です。これにより、どんなに魅力的に見える銘柄でも、自分の資産を守るための防衛ラインを自動的に引くことができます。また、具体的な金額で決める方法は、投資初心者の心理的な負担を和らげるのに有効です。

チャートの特定のサインで判断する

テクニカル分析を活用する方法もあります。例えば、長期的な株価の下支えとなっていたサポートライン(支持線)を明確に割り込んだ場合、それは市場参加者の心理が弱気に傾いたサインかもしれません。こうした客観的な指標をルールに組み込むことで、もうすぐ戻るはずだという根拠のない期待に振り回されることを防げます。

新NISAで損切りする2つのメリット

損切りは一時的には痛みを伴いますが、新NISAという特別な制度においては、将来的なリターンを最大化するための前向きな手段となり得ます。

投資の非課税枠を翌年以降に再利用できる

新NISAの画期的な仕組みの一つに、非課税投資枠の再利用があります。保有している商品を売却すると、その商品の簿価(購入時の価格)分の枠が、翌年以降に復活するのです。

例えば、成長性の低い銘柄を100万円分損切りした場合、翌年には再び100万円分の非課税枠を使って、別の有望な銘柄や投資信託に投資し直すことができます。この枠の復活制度をうまく活用すれば、常にその時々で最適と思われるポートフォリオへ組み替え続けることが可能になります。

感情的な取引を防ぎ、さらなる損失の拡大を抑える

含み損を抱えたまま画面を眺め続けるストレスは、日常生活の質をも低下させかねません。一度ルールに基づいて損切りを実行すると、不思議と心が軽くなり、冷静に市場を俯瞰できるようになるものです。大きな損失で市場から退場させられることを防ぎ、次のチャンスで勝負できる資金と精神状態を保つことこそが、投資で生き残るための秘訣です。

損切り前に知っておきたい!新NISAならではの注意点

損切りにはメリットもありますが、新NISA特有の制約についても正しく理解しておく必要があります。通常の特定口座での取引と同じ感覚でいると、後悔することになりかねません。

売却した時点で損失が確定してしまう

含み損はあくまで評価上のものです。売却しない限り、将来的に価格が急回復してプラスに転じる可能性は残されています。損切りをした直後に価格が跳ね上がるというケースは投資の世界では珍しくありません。この機会損失のリスクと、損失の拡大を防ぐメリットを天秤にかける慎重さが求められます。

最大の注意点!損益通算・繰越控除は利用できない

ここが最も重要なポイントです。通常の課税口座であれば、A株で出た損失をB株の利益と相殺して税金を安くする損益通算が可能です。また、引ききれなかった損失を3年間繰り越す繰越控除も認められています。

しかし、新NISA口座は利益が非課税である代わりに、そこで発生した損失は税務上存在しないものとして扱われます。つまり、他の口座の利益と合算して節税することは一切できません。NISA口座での損失は、文字通り丸々自分の持ち出しになるという厳格なルールを覚えておきましょう。

損切りは最終手段!損失発生時に検討したい3つの対処法

価格が下がったからといって、すぐに売るか持つかの二択で考える必要はありません。状況に応じて、以下のような戦略的な対応を検討してみましょう。

  1. そのまま保有を続けて価格の回復を待つ(ホールド)
    投資先の本質的な価値が変わっていないのであれば、一時的な嵐が過ぎ去るのを待つのも立派な戦略です。
  2. 追加で買い増しして平均取得単価を下げる(ナンピン買い)
    その銘柄の将来性に強い確信がある場合、価格が下がったところで買い増すことで、平均購入単価を引き下げ、利益が出るまでのハードルを下げることができます。ただし、さらに下がった場合のダメージも大きくなるため、慎重な判断が必要です。
  3. 投資先を見直して別の銘柄に乗り換える
    損失を確定させ、その資金でより効率的に稼いでくれそうな他の商品に乗り換えます。これは負けを認めることではなく、資金をより高い期待値の場所へ移動させる攻めの姿勢です。

そもそも大きな損失を出さないための予防策

損切りに悩まなくて済むように、最初からリスクを抑えた運用を心がけることが大切です。その基本はやはり分散投資に尽きます。

特定の国や特定の企業だけに資産を集中させず、値動きの異なる複数の資産(株式、債券、リートなど)を組み合わせることで、一部の価格が暴落しても全体のダメージを最小限に食い止めることができます。また、一度に大金を投入するのではなく、時間の分散を意識した積立投資を継続することも、高値掴みを避けるための有効な防衛策です。

まとめ:資産を育てるための新しい選択肢

新NISAにおける損失との向き合い方は、長期的なゴールを見据えた上で、冷静なルール作りをすることから始まります。基本的には長期保有で複利の恩恵を狙いつつ、個別株などでは適切なリスク管理として損切りを使い分ける。このバランス感覚こそが、安定した資産形成の土台となります。

しかし、NISAでの運用を続ける中で、「誰かが作った商品に自分のお金を預ける」という投資のあり方に、どこか物足りなさや、自分のコントロールが及ばない不安を感じることはないでしょうか。市場の気まぐれに資産を委ねるだけでなく、自分自身の力で収益の柱を構築するという選択肢も、これからの時代には欠かせません。

その新しい一歩を支えるプラットフォームが、カケハシです。カケハシは、独立や副業を目指す個人と、魅力的な商材を持つ企業を繋ぐ、ビジネスの橋渡しを行っています。

投資は資産を増やす強力な手段ですが、代理店ビジネスやフランチャイズといった自分自身が主体となる事業は、市場の価格変動に一喜一憂するのとは異なる、確かな手応えと成長の実感をもたらしてくれます。NISAで学んだリスク管理や長期的な視点は、自らの手でビジネスを育てる際にも必ず大きな武器となります。

「会社に雇用される」という形以外に、自らビジネスを選択し、自分の力で未来を切り拓く。資産運用で築いた土台を元に、新しい働き方の地平をカケハシで見つけてみてはいかがでしょうか。

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#カケハシ 編集部

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