メルカリの転売対策|なぜしない?転売ヤーへの有効な対処法を解説

メルカリで自分の商品が転売ヤーの標的となり、悩んでいる出品者は珍しくありません。

運営側でも取り締まっているようには見えないからこそ、人によっては「もうメルカリで出品するのをやめようかな」と考えている人も珍しくないです。

そこで、この記事ではメルカリが転売を全面的に規制しない理由から、個人や企業ができる転売ヤーへの具体的な事前対策、実際に転売された際の有効な対応まで、実践的な情報を詳しく解説します。

ぜひ転売ヤーからの被害を防ぎ、健全な取引環境を守るための一助としてください。

メルカリでの転売が引き起こす問題点とは?

まずは、メルカリでの転売が引き起こす問題点について見ていきましょう。

商品の価格が高騰し本当に欲しい人に届かなくなる

転売ヤーによる買い占めは、市場の需要と供給のバランスを人為的に崩壊させ、商品の価格を不当に吊り上げる原因となります。

例えば、任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」のような世間から注目されている製品や数量限定で販売されるアーティストのグッズは、発売直後に買い占められ、定価を大幅に上回る価格で転売されるケースが後を絶ちません。

このような状況では、純粋に商品を欲しているファンや消費者が適正な価格で購入する機会を失ってしまうのが明白です。

その結果、本当に商品を必要としている人々の手に行き渡らず、転売ヤーだけが不当な利益を得るという不健全な市場が形成されることになります。

転売が問題とされるのは、価格の崩壊を引き起こすからです。

企業やブランドのイメージが低下する恐れがある

転売された商品を購入した消費者から、製造元の企業に対して品質に関するクレームが入ることもあります。

転売品は保管状態が不完全だったり、本体自体が非正規品であったりする可能性も否定できないものの、購入者は転売品と認識せずに製品自体の問題だと捉えてしまいがちです。

こうした誤解に基づくクレームだけならまだしも、低評価の口コミやレビューをつけられることで、企業が築き上げてきたブランドイメージや信頼性を著しく損なう恐れがあります。

また、自社製品が高額で転売されている状況を放置していると、その企業自体が対策を講じていないというネガティブな印象を与えかねません。

結果的に、ブランドイメージがダメージを受けるわけです。

不正な品質管理で消費者に健康被害が及ぶリスクも

化粧品やサプリメント、食品といった品質管理が重要な商品は、転売される過程で劣化する危険性を孕んでいます。

個人である転売ヤーが、メーカーの定める適切な温度や湿度管理、衛生基準を守って商品を保管しているとは限りません。

高温多湿な場所に長期間放置された化粧品やサプリメント、食品は成分が変質・劣化し、本来の効果が得られないばかりか、肌トラブルや食中毒など、消費者の健康に直接的な被害を及ぼす可能性があるわけです。

上記のような事態が発生した場合、製造元の企業が意図しない形で社会的な信頼を失うことにもなりかねません。

メルカリが転売を全面的に規制しない理由

次に、メルカリが転売を全面的に規制しない理由について見ていきましょう。

転売行為そのものは法律で禁止されていないため

現在の日本の法律において、古物営業法に基づく許可を得ずに中古品を継続的に売買することは規制されていますが、個人が不要になった私物を販売したり、新品を購入して再販売したりする「転売」行為そのものを直接取り締まる包括的な法律は存在しません。

例外として「チケット不正転売禁止法」のように特定の対象に限定した法律はあるものの、一般的な商品に関しては、自由市場の原則に基づき、個人間の売買は基本的に自由。

プラットフォームであるメルカリが、法律で違法とされていないすべての転売行為を独自に禁止することは、サービスの根幹である「自由な取引」を過度に制限することになりかねないことから、現実的ではありません。

メルカリの規約で禁止されているのは一部の転売のみ

メルカリはすべての転売を容認しているわけではなく、規約によって一部の悪質な転売行為を明確に禁止しています。

代表的なのが、手元に商品がない状態で出品し、注文が入ってからAmazonなどの他のECサイトで購入して直接購入者へ発送させる「無在庫転売」です。

これはトラブルの原因となりやすいため禁止されています。

また、入手経路が不明なチケット類や、ダウンロードコンテンツなどのデジタルデータも規約違反の対象です。

それらの対策からもわかるように、メルカリは法律や社会通念上問題があると判断される特定の転売のみを規制の対象としており、他の個人間取引については許容するスタンスを取っていると言えるでしょう。

ただ、対策が十分かと言えばまだ不十分な面もあり、今後より具体的な対策が進められていくのではないでしょうか。

【個人出品者向け】転売ヤーに購入させないための事前対策

ここからは、個人出品者向けとして、転売ヤーに購入させないための事前対策について見ていきましょう。

出品前に商品の市場価格をリサーチしておく

転売ヤーは市場価格よりも安く出品されている商品を狙って仕入れを行います。

ゆえに、出品する際はまずメルカリ内や他のオンラインマーケットで同じ商品がどのくらいの価格で取引されているか事前にリサーチすることが重要です。

相場を把握し、適正な価格設定をすることで転売目的の購入者にとっての利幅をなくせば、必然的にターゲットにされにくくなるでしょう。

特に、希少品や人気商品を安易に安値で手放してしまうとすぐに転売ヤーの餌食になる可能性があるからこそ、適切な価格設定は自身の利益を守ると同時に転売を未然に防ぐための第一歩となると理解しておくべきではないでしょうか。

商品画像に自分のアカウント名を記載し無断使用を防ぐ

転売ヤーの中には、他人の出品画像を直接盗用して、無在庫転売を行う者がいます。

これを防ぐ有効な手段が、商品画像に自分のアカウント名やニックネームを文字として入れる方法です。

画像加工アプリを駆使すれば、簡単かつ目立ちすぎないよう透かし文字を入れられます。

それにより、画像が悪用されるのを物理的に困難にし、無断転載を躊躇させる効果が期待できるはずです。

万が一、無断で画像を使用された場合でも、メルカリ事務局への通報時に自身が撮影した画像であることの明確な証拠となり、迅速な対応を促すことにも繋がるかもしれません。

商品説明に転売目的の購入を断る文言を入れる

商品説明文の中に「転売目的でのご購入は固くお断りします」や「個人で楽しんでいただける方にお譲りします」といった一文を記載しておくことは、転売ヤーに対する心理的な牽制として機能します。

この文言に法的な拘束力はありませんが、出品者が転売を望んでいないという意思を明確に示すことで、悪質なユーザーからの購入を躊躇させる一定の効果が見込めるのです。

また、本当に商品を必要としている購入希望者に対しては、その出品者の誠実な姿勢が伝わることで安心感を与える要因にもなります。

上記は誰でも簡単に行える対策であり、他の方法と組み合わせることでより徹底した転売対策に繋がると言っても過言ではありません。

購入申請機能を活用して購入者を選ぶ

メルカリには購入申請機能はありませんが、購入者を事前に選別する方法があります。

それは、単純に商品説明やプロフィール欄に「購入前に必ずコメントをお願いします」と記載しておくことです。

これにより、即購入を防ぎ、購入希望者と一度コミュニケーションを取る機会を設けることができます。

コメントの内容や言葉遣い、そしてユーザーのプロフィールや過去の取引評価などを確認し、転売ヤーの可能性がないと判断した相手とのみ取引を進めることで転売対策が可能。

手間はかかりますが、トラブルを未然に防ぐためには非常に有効な手段です。

購入者の過去の評価や取引履歴を確認する

購入希望者や購入者のプロフィールページにアクセスし、過去の取引評価や出品履歴を確認することは、転売ヤーを見抜くための重要な手がかりとなります。

評価コメントの中に「転売されました」といった内容がないか、出品リストに同じ商品を複数出品していたり、ジャンルを問わず人気商品ばかりを扱っていたりしていないかなどをチェックするのが良いです。

これらの特徴に当てはまるユーザーは、転売目的である可能性が高いでしょう。

取引を開始する前にそれらの情報を確認し、仮に転売ヤーの可能性が低くても、取引に問題がありそうな場合はキャンセルをするか、慎重に判断するよう徹底してみてはいかがでしょうか。

【企業向け】自社製品を守るための転売対策

ここでは、企業向けとして、自社製品を守るための転売対策について見ていきましょう。

商品やパッケージに識別可能なマークや番号を印字する

自社製品の一つ一つ、あるいはパッケージにシリアルナンバーや固有の識別コードを印字することは、転売対策としてかなり効果が期待できる手段です。

こうした取り組みにより、どの流通経路を辿った商品が転売されているのかを追跡しやすくなるだけでなく、仮に転売が確認された場合、そのシリアルナンバーを公式サイトなどで公表し、非正規ルート品であることを消費者に注意喚起することもできます。

また、保証サービスの対象を正規販売店からの購入者に限定する時にシリアルナンバーを照合することで、転売品を購入した消費者からの保証要求を区別することが可能です。

結果的に、転売品の購入リスクを消費者に認識させ、転売市場の抑制に繋げられます。

公式サイトでの一人あたりの購入個数に上限を設ける

転売ヤーによる買い占めを防ぐための最も直接的で効果的な方法の一つが、公式オンラインストアでの販売時に一人あたりの購入可能数を制限することです。

限定品や新製品の発売時には、1アカウント(または1住所)につき1点までといった上限を設けることで、限られたユーザーが商品を独占するのを防げます。

結果的に、本当に製品を欲しいと願う顧客に商品が行き渡る機会を確保できます。

最近では企業の大多数がこうした手法を導入しており、システム上で同一人物による複数アカウントからの購入を検知する仕組みと組み合わせれば、よりその効果を向上させることが可能です。

初回限定価格などのキャンペーン内容を見直す

初回限定お試し価格やモニター価格といった、新規顧客獲得を目的とした安価なキャンペーンは、転売ヤーにとって格好の仕入れ機会となるリスクを孕んでいます。

彼らは複数のアカウントを作成してキャンペーンを悪用し、安価で大量に商品を仕入れて利益を上乗せして転売するなど、非常に悪質な行為を行っています。

上記の事態を防ぐには、キャンペーンの適用条件を厳格化することが必要です。

例えば「本人確認を徹底する」「同一住所からの複数申し込みを制限する」あるいは「キャンペーン価格での提供個数に上限を設ける」など、転売目的での利用が困難になるような制度設計の見直しが必須です。

販売規約に転売禁止条項を明確に記載する

自社の公式サイトやECサイトの利用規約に、営利目的での転売を明確に禁止する条項を盛り込むことは、法的な観点からも重要な対策です。

この条項を設けることで、転売目的での購入が規約違反であることを明示し、違反者に対してアカウントの停止や、場合によっては損害賠償請求などの法的措置を取るための根拠とすることができます。

消費者が購入手続きの際に規約へ同意することを必須とすれば、その効力はより確実なものとなるでしょう。

単に転売を抑制するだけでなく、企業として転売行為を容認しないという毅然とした姿勢を内外に示すことにも繋がり、本質的なファンやリピーターを獲得することにも繋がるのではないでしょうか。

もし自分の商品が転売されてしまった場合の対処法

次に、もし自分の商品が転売されてしまった場合の対処法について見ていきましょう。

メルカリの規約違反として運営事務局に通報する

自身の商品が転売されているのを発見した場合、その出品がメルカリの規約に違反していないかを確認することが重要です。

自身が撮影した商品画像を無断で使用しているケースは「他会員の画像、文章などを無断で使用すること」という禁止行為に該当します。

この場合、該当商品のページから「商品の報告」を選択し、違反の種類として「他会員の画像、文章などを無断で使用している」を選んで運営事務局へ通報するのがセオリー。

具体的な状況を記載して報告することで、事務局による削除対応などが期待できます。

無在庫転売が疑われる場合も、同様に通報が可能です。

転売ヤーのアカウントをブロックして今後の取引を防ぐ

転売ヤーの出品を発見しても、該当の出品を直接削除させることは困難なものの、今後の被害を防ぐための自衛策としてアカウントのブロック機能が有効です。

相手のプロフィールページからブロック設定を行うと、そのユーザーは今後自分の商品を購入したり、いいねやコメントをしたりすることができなくなります。

この措置は、特定の転売ヤーからの再購入を確実に防ぐための手段となります。

ただ、ブロックした相手が別のアカウントを作成して購入してくる可能性は残るので、他の対策と併用するのが理想です。

知っておきたい転売対策に関する法的なポイント

最後に、知っておきたい転売対策に関する法的なポイントについて見ていきましょう。

チケットなどを除き、転売自体を取り締まる法律はない

日本国内において、商品の転売行為を一律に禁止する法律は現状存在しません。

2019年に施行された「チケット不正転売禁止法」は、特定の興行チケットを定価を超える価格で、業として転売することを禁止しているものの、これはあくまでチケットに限定されたものです。

衣料品、ホビー商品、化粧品といった一般的な物品に関しては、古物営業法に定める中古品の継続的な売買に該当しない限り、個人が購入した商品を再販売する行為は、原則として合法的な経済活動と見なされてしまいます。

そうした法的な背景が、メルカリをはじめとするフリマアプリが転売を全面的に禁止できない理由となっています。

つまり、メルカリ側は「取り締まりたくても取り締まれない」状況なのです。

画像の無断転載や商標権の侵害は対抗できる可能性がある

転売行為自体は違法でなくても、その手法が法に触れる場合があります。

代表的なのが、自身で撮影・作成した商品画像を他者に無断で使用されるケースです。

この画像には著作権が発生するので、無断転載は著作権侵害にあたり、使用の差し止めや損害賠償を請求できる可能性があります。

また、企業が出品する場合、自社のロゴやブランド名を転売ヤーが無断で使用し、あたかも公式サイトであるかのように見せかけて販売している場合は、商標権の侵害を主張できることもあるわけです。

それらの権利侵害に対しては、プラットフォームへの通報だけでなく、弁護士に相談の上で法的な手続きを検討することも一つの選択肢となるでしょう。

自力での解決が困難な場合は、運営やプロに相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

メルカリにおける転売は、法的に禁止されていない側面があり、プラットフォームによる完全な規制が難しいのが現状です。

ただ、価格高騰やブランドイメージの毀損など、出品者にとっては問題を引き起こします。

この問題に対処するためには、個人出品者も企業も、まず転売ヤーのターゲットにされないための事前対策を講じることが重要となります。

価格リサーチや画像へのアカウント名記載、購入個数制限、規約への明記はもちろん、万が一転売されてしまった場合でも規約違反の通報やブロック機能の活用、場合によっては法的措置も視野に入れ、複数の対策を組み合わせて粘り強く対応することが重要です。

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#カケハシ 編集部

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